ブログ

未分類

昇降機の適切な維持管理に関する指針・エレベーター保守・点検業務標準契約書

2026年10月27日

2026 10 27

昇降機の維持管理指針及び地震対策等に関する説明会参加

先日、東京会場で上記 日本建築設備・昇降機センター主催の説明会に参加してきました。

数年前、コロナ渦前にも同様の説明会に出席したことがあり、その時も100名程の参加者でしたが、今回はその参加者に一般の方の参加割合が高かった印象を受けました。8割以上はエレベーター関係者(エレベーターメーカー、独立系保守会社の技術者、設計申請担当、検査担当、工事担当等)ですが、“昇降機の安全性について“ではエレベーター事故で実際の被害者ご遺族の方の講演もあり、一般の方、利用者の身近に感じられる内容を意識しているのではと感じられました。

今回“昇降機の適切な維持管理に関する指針及びエレベーター保守・点検業務標準契約書”の新・改訂もあり、それらに関する説明解説もありましたが、初版平成29年から大きな内容の変化は見受けられませんでした。

その他に関しては、この維持管理に関する指針がどういった経緯背景で策定されたのか、維持管理指針の解説、エレベーター保守・点検業務標準契約書の解説、地震対策の取り組み浸水対策ガイドラインについてと、従来内容の深堀内容解説、最近発生した災害状況の対策、法律施行検討の経緯や詳細解説と、おそらく一般の方が直接エレベーターの法律、技術的な情報が広く情報収集できる唯一の機会ではないかと思われます。

東京以外、名古屋、大阪、神戸と主要都市で開催され、私が申し込もうとした2か月先の大阪、神戸会場ではすでに満席、受付も終了して、今年2回目の追加開催の東京会場での申し込み受付となりました。

恐らく、ここ最近のエレベーター事故発生の報道で一般の方のエレベーター所有者、管理者、利用者の安全に対しての意識の高まりから参加人数が増加したのではないでしょうか。

関係者(所有者・管理者/製造業者/保守点検業者)の役割

このようなエレベーターに対して国を挙げての指針、対策が必要とされたのは東京で発生した2006年のエレベーター挟まれ事故がきっかけとなります。事故発生当時は連日連夜マスコミ報道で事故機メーカーについて各メディアで取り上げられ、それまでエレベーターが世間にこれほど危険な乗り物だったと印象付けた最初の出来事でした。

あれから、ちょうど20年後経過して法律も改正されたりと、より安全性を確保する仕様の装置設置を義務付ける規制が敷かれ、既設のエレベーターに対しても既存不適格とは言え、戸開走行保護装置、地震、耐震対策についてはリニューアル工事の新規設置検討に加えるように所有者に推奨する啓蒙活動が為されていますが、その一環が補助金であり、今回の講習・説明会といった国の方針ではないかと思われます。

まず、この指針では所有者・管理者と製造業者、保守管理業者 3者の責任分担における、それぞれの役割を示しています。

【所有者】

  • 製造業者による保守・点検の情報を踏まえ、常時適法な状態に維持
  • 保守点検契約に基づき保守点検業者に保守・点検を行わせる
  • 保守点検業者の作業時間及び安全な業務環境を確保
  • 保守点検運行に支障が生じる場合は、自ら保守等の措置を講じ、又は保守点検業者に必要措置を講じさせ、安全利用を促す
  • 標識の掲示、アナウンス等により利用者に安全利用を促す

                          ↓

所有者の義務として、エレベーターを安全に利用する為には保守点検業者に必要な保守点検を行わせ、その為に必要な環境を提供し、製造業者からの保守点検に関する維持管理情報を踏まえて利用者への表示案内を確立し安全性を確保する。

【製造業者】

  • 製造した部品等を販売終了時から起算して耐用年数を勘案し適切な期間供給
  • 所有者に維持管理に必要な情報、機材を提供又は公開し、問い合わせ等の体制を整備
  • 安全な運行に支障が生じる恐れがある欠陥が判明した場合、速やかに所有者にその旨伝え、無償修理等必要な措置を講じ、措置内容を文書等により報告
  • 不具合情報を収集し・検討し、安全な運行に支障が生じる欠陥が無いか検討

                           ↓

製造業者は維持管理に必要な情報、機材を提供、公開しその為の体制を整備し、維持管理に必要な部品供給を耐用年数を勘案した適切な期間まで供給する。安全性の問題のある欠陥が判明した場合は、速やかに公開し無償修理対応等対応方法を文書などで公開する。安全上支障のある不具合の情報収集、安全対策を講じ欠陥がないか検討

【保守点検業者】

  • 保守点検契約に基づき「保守・点検の結果」「不具合情報」を文書等により報告
  • 保守点検契約の範囲を超える修理が必要と判断した場合は、理由を文書等により十分説明
  • 維持管理に関する助言を求められた場合等に適切に提案又は助言
  • 安全運航に支障が生じると判断した場合は速やかにその旨を伝達
  • 不具合情報を収集・検討し、保守・点検が原因となるものが無いか検討

                           ↓

保守点検契約により、点検結果報告と不具合発生情報の文書による報告義務。契約書の対象範囲外については原因、理由を文書等にて十分に説明する。維持管理に関する質疑応答には適宜対応。安全運行に支障があると判断した場合は速やかに所有者に報告し、保守点検を通じて情報収集、検討する。

エレベーター保全管理 それぞれの原状について

近年において、エレベーターに対する世間一般の関心は高まってきている印象を受けます。エレベーターに関する事故発生の報道がある度、私の事務所まで各メディア各社が取材要請の申込がありますが、発生した直後の状況報道については取り上げられるのですが、当然その時ははっきりとした原因については判明していないので憶測で情報が飛び交う事になります。しかしながら、原因が解明され数か月後経過するとどこのメディアも取り上げようとしません。世間一般には原因不明のまま何の教訓も得る事が出来ないといった事が繰り返されているのです。

製造業者と保守点検業者は報道対象となる事故が発生すると企業として甚大なダメージを負うことになるので、安全性に関わる重要な情報の開示、対応とその報告については、この20年でずいぶん整備されています。

製造業者については、機種ごとの保守マニュアル、点検検査方法についてもホームページ上で開示されていますし、保守部品の調達ルートについても製造業者と特に独立系保守会社との窓口となる部門間のやり取りも体制が確立されています。

しかしながら、私が抱いている印象では、保守点検業者と所有者との保守保全の状況報告がまだ不十分と感じる場面が多々あります。

やはり、エレベーターは専門的要素が多く、一般の方への理解は難しい面がどうしてもあるので、保守点検業者からすると、どうせ報告しても分からないから通り一遍の報告しかやらない、そもそも文書で報告書を作成するのが苦手だから、客先の対応は営業に任せて、内容は口頭で伝えて、文書作成は営業が適当に対応させたらいい等、未だに技術は保守点検だけしていればいいといった一昔前の技術員が数多くいる印象を持っています。

これでは所有者、管理者に正確な情報が伝わらないのです。

エレベーター保全3者の役割に応じた協力体制と情報共有が今後の課題

人手不足、働き方改革により、より一層自分ひとりの決められた業務だけしか関心を持たない風潮の中、よりよい顧客志向、安全志向といった成長に必要な指向性が望まれなくなる中、将来のエレベーター保全管理市場に一抹の不安を感じるのですが、そういった面を補う事ができる存在としても、幅広い見識のあるエレベーター専門のコンサルタントとして、皆様の所有されるエレベーターの保全管理のサポート役として、より高い安全性、最新技術による利便性、顧客満足の向上となるような意匠性のそれぞれに向けて精一杯お手伝いいたします。どうかお気軽にお問い合わせください。

問合せフォームはこちらになります。