事例集

Case 01

修繕積立金予算に対して
エレベーター改修費用が高額で困っている

油圧式エレベーターの事例

高槻市 築52年 総戸数35戸 4階建て 某大手管理会社
初回お問合せ時期 2019年1月頃

エレベーター改修工事の契約をしたが、かなりの高額で修繕積立金予算を大幅に超えている事が後に発覚したのだが、そもそも工事金額の妥当性について教えてほしい。

メーカー系保守会社で竣工以降保守契約しており、そことの見積、契約の話だが、他のエレベーター会社(大手5大メーカー)に見積依頼しても応じてもらえないのだが可能か?

現地訪問ヒアリング

高額なエレベーター工事代金は
管理組合運営にとって大問題

契約をした理事長は高齢であり、どうも深く認識せずに契約をしてしまった様子。今回お問合せをいただいたのは役員でもない区分所有者の方で、何らかの関係でこの状況を知り、詳細について確認する必要があると判断しネットで各方面に相談をされたようでした。

契約の工事内容は、油圧式をロープ式に完全撤去新設する内容で、エレベーター機器周辺の建築付帯工事を含み数千万円でした。

保守契約先のメーカー系保守会社や管理会社担当にも説明を受けたが、やたらと専門用語を並べ立て一般人には理解できるような内容ではなかったとの事。

今後、屋上雨漏り防水工事や、外壁工事、道路面の隔て壁耐震工事、各戸玄関扉取替等必要な修繕が多々ある中、小規模戸数でありながら住民全体的に高齢化が進んでおり年金生活者が多いので十分な修繕積立金の値上げ実施もできなかったのでこのエレベーター工事代金は管理組合運営にとって大問題となっている状況でした。

提案、解決プロセス

ロープ式に入れ替えなくても
油圧式のままで機器だけを入れ替える方法を提案

今の油圧式を撤去してロープ式に入れ替えなくても油圧式のままで機器だけを入れ替える方法があるので1/3~1/2程度まで工事金額削減できると提案をしました。

契約後、それ程日も浅かったので何とか契約解除に応じさせる事ができましたが、今度は現在締結の保守契約も解約となると打診されたとの事なので改修工事実施まで保守管理をこちらで請け負う事としました。

切り替え引継ぎに前保守会社担当者が、“問題現場を引き受けてもらいありがとうございました。”と嫌味にも似たような事を言われたのが印象的でした。

その後、屋上雨漏り防水工事や、外壁工事、道路面の隔て壁耐震工事、各戸玄関扉取替等完了し、積立金予算確保され、2022年6月にエレベーター改修工事契約、2023年2月に無事完了引き渡しとなりました。

結果における評価

工事代金のコストダウン&ランニングコスト減

初回お問合せいただいた区分所有者様は途中から理事長立候補され、エレベーター以外の事でもちょこちょこと相談いただきながら約3年がかりとなりましたが、途中1度だけ不具合故障があっただけで大きな問題もなく本当に良かったと評価いただきました。

あの時、そのまま数千万の工事が進行していたら想像もつかない状態になっていたと思うと感謝の言葉をいただきました。

結果的に、約数千万の工事代金のコストダウンと工事後の保守は最新の遠隔監視装置を設置し有人点検を3か月に1回の契約内容としたのでメーカー系保守の約半分のランニングコスト減となりました。

まとめ

少しの気付きから、大きな問題への発展を阻止する事ができたのではないかと思います。

世の中にはまだまだこういったエレベーターが数多く存在しており、ほとんどの場合は何の検証もなく業者のペースで物事が進められているのだと感じられます。

自分たちのマンション設備の自己資産に関心をもち少しでも疑問があれば各方面にアンテナを広げ、検証してみるのは大事な事なのですが現実は中々難しい事かと思います。

そういった管理組合様の役にたつ事ができるのがエレベーターマネージメントの存在意義だと信じています。

Case 02

自主管理の管理組合のマンションで
現在のエレベーター保守会社の対応に不満

ロープ式エレベーターの事例

神戸市 築36年 総戸数25戸 8階建て 自主管理
初回お問合せ時期 2020年9月頃

ホームページからのお問合せフォームから相談依頼いただきました。

“現在、某大手メーカー系保守会社に保守管理を依頼しているが、保守内容などに不満がある。また耐用年数の関係でリニューアルの要請を受けているが、合わせてお話をおうかがいしたい。またマンション全体の管理は区分所有者による自主管理を行っている。”

現地訪問ヒアリング

現メーカー系保守会社の対応が遅く、
要望も無視されていた

今期から理事長になったばかりとの事でしたが士業事務所を経営され、かなりしっかりとした考えを持っていらっしゃる印象を受けました。

冒頭から、現メーカー系保守会社に対して不満を募らせていました。以下その内容です。

4月に新しく理事長となった案内を現保守会社に送付し5月に責任者挨拶訪問、その時にリニューアル工事について打診され、見積書を依頼したが、見積書を受け取ったのは9月であり、金額決定権があるから出来るだけ値引きしますと言っていたが定価から6%引きの形式的なものだった。

見積書内容についても、こちらからの要望が全く無視されカタログ記載の最低レベルの案そのままであった。

以前から、スイッチ関係の故障が続いていると伝えたところ“関連するユニットを急ぎ取り換えるように技術に伝えます”と言われ、後日それが遅れている言い訳を電話でもらったきり、何の対応もされていない

提案、解決プロセス

要望を盛り込み、金額は出来るだけ抑えながらも、
必要な安全装置はアップグレード

まずは、現保守会社の点検報告書と年に一度行政へ提出の定期検査報告書の内容をもとにリニューアル工事仕様の説明からご要望を盛り込んだ見積書と工事概要書、提案書について説明、ご理解いただきました、金額は出来るだけ抑えたいので既存流用できるものとそうでないものを明確にして、必要な安全装置をアップグレードとして追加する等理事会、臨時総会で必要な説明内容をすべてプレゼン資料として準備しました。

結果、工事金額は約22%減、その後の保守費月額の差額は¥35,000-であり単純比較はできないものの20年間で840万円以上、リニューアル工事金額に匹敵する総額となります。

結果における評価

スピーディーで懇切丁寧に、寄り添うような対応が喜ばれた

メーカー系保守会社の一部誠意にかけた対応がきっかけとなった事例ですが、自主管理の一般の方に対しての説明が、管理会社と違って丁寧で分かりやすい表現方法等が必要と実感いたしました。恐らく、メーカー系保守会社からすれば、一般の方の自主管理理事長は知識もないから、こちらからの提案で質問も異議もなく大幅な金額折衝も発生しないと踏んだのでしょう。ちょうどリニューアル工事が月初めの1日だったので前日までが保守契約切り替え日なので必ずそれまでに、遠隔監視装置の取り外しを打診連絡しましたが、工事当日もついたままだったので、管轄の営業所に再度連絡しました。遠隔監視装置取付箇所周辺の解体作業を後回しにしたのですが、撤去、回収に来たのは2、3時間後だったのでそのまま撤去して廃材処理してもよかったんじゃないかと思いました。

いずれにしても自主管理の理事長となると相談できるところが他にないので、出来るだけエレベーター以外の事も御相談いただいたり、スピーディーで懇切丁寧に寄り添うような対応が喜ばれたのではないかと思います。

まとめ

自主管理の管理組合は少ないケースですが、こちらについては清掃も行き届いており各掲示についても見やすく、良好なマンション管理が、代々受け継がれていたかと思います。

小規模であれば自主管理でも十分運営可能であり、管理会社への委託費用分をうまくその他の修繕費用にあてることができるならば、その手助けができた事が私にとって大きな社会貢献であり、存在意義を感じた出来事となりました。

Case 03

エレベーターリニューアル費用が
妥当な金額か意見を聞きたい

油圧式エレベーターの事例

池田市 築33年 総戸数35戸 5階建て 某準大手管理会社
初回お問合せ時期 2021年7月頃

先日、理事会でエレベーターリニューアル工事が管理会社主導で決定された旨の議事録が回覧されてきた。かなりの高額工事だが相見積もりもないので妥当な金額か確かめたいが、他のエレベーターメーカーに見積依頼しても応じてくれない。意見を聞きたいので一度現場に来てほしい。

現地訪問ヒアリング

管理会社が元請けとなり
油圧式をロープ式に入れ替える内容

議事録と見積仕様書閲覧させてもらったところ、管理会社が元請けとなり油圧式をロープ式に入れ替える内容の見積で1台¥20,000,000-万円、¥18,000,000-、¥17,000,000-の3パターンの内容でした。

仕様の違いは、身障者仕様を新規追加とロープ式にすると油圧機械室内のスペースが不要になるのですが、その油圧ユニット機器類の撤去を含むか含まないかといった違いでした。

わたくしの感覚からしてせっかく油圧機械室のスペースが空くなら物置倉庫として利用するように当然廃材機械類は撤去するのが通常かと思いますが、逆に廃材機械をずっと残してデッドスペースを何十年間も放置するような案をしかも管理会社が元請けとなって提案するのは少し理解し難いと感じました。

独立系保守会社で一度見積をとることを提案

しかも、議事録には“既設の保守会社ではなく、他メーカー系で実施する場合、新たに配線や電気工事が必要となりさらに高額となることが予想される。また独立系で実施する場合点検業者、点検仕様の見直し等、技術面や部品供給のスピード感等が劣ることが予想される事から管理組合として相見積もりを取得する事は現実的ではないと判断した。”と記載されていました。

論点が全く違う点と、今時独立系保守会社の部品供給のスピード感が劣っている等時代錯誤も甚だしい、そうして何も分からない管理組合理事の方々に決め打ちで進行しているのでは等、アドバイスした上で独立系保守会社として一度見積をとってみてから再検討されたらと理事会、理事長に図ってもらうように提案しました。

その問い合わせいただいた方は前理事長であり、今はただの区分所有者なので、修繕委員を発足して組合理事会でこの件を扱うようにする事に後日なりました。

提案、解決プロセス

ロープ式か油圧式かの方向性を検討

まずは、油圧式をロープ式にした準撤去新設の見積¥14,000,000-~と油圧リニューアル見積¥8,000,000-~を提示しロープ式か油圧式かの方向性について検討して頂きました。

その時に戸開走行保護装置について説明を求められ、その開発経緯、法律解釈、システムの内容等から、油圧式のままであれば必要のない仕様と解釈、判断されました。

どうも管理会社からの説明では違った解釈を持たれておりロープ式への入れ替え工事ありきだった様子が感じ取れました。

その後、数回理事会でのエレベーター説明会に出席し理事、修繕委員会のメンバー様へ工事内容、その後の保守について等忌憚のない意見や、質問もありかなりエレベーターについて理解を深められた様子でした。その後臨時総会で独立系会社によるリニューアル工事が可決され2023年3月に無事完成引渡されました。

結果における評価

工事金額は当初案から約半分以下。
エレベーターの機能や工事内容について理解、納得

結果として工事金額は当初案から約半分以下であり、エレベーターの機能や工事内容について理解、納得された事が管理組合、修繕委員会の皆様から感じ取れました。

途中から、管理会社フロント担当者も同様に理解を深められた様子で同社関連部署のリニューアル工事部がこの件では主導していたとの事でした。

工事後の保守契約も従来、管理組合と管理会社元請け、メーカー系保守会社との契約形態を管理組合と独立系保守会社との直接契約となりその分でもランニングコストのダウンは達成されています。

まとめ

今回のように、管理会社がメーカー系保守会社を下請けにして管理組合に元請け契約で話を進めてくるケースが最近増えてきています。管理会社が元請けとなって工事管理からその後のアフターサービスについてスケールメリットをもって対応するといった安心感はあるので一概に敬遠する事ではないと思います。

しかし、私の25年間の経験から元請け管理会社がすべて窓口となって工事管理、安全管理、業者管理、その他対応等を元請け責任として為されているかと言えばかなり疑問です。

管理組合と修繕委員会とエレベーター会社が一致団結できた事が一番重要な要因であったと思います。