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マンションのエレベーターにおける自転車利用問題について

2026年5月10日

2026 05 10

拡大する都心部マンション内自転車のエレベーター利用

一昔前は、マンション敷地内の駐車場不足がよく問題となっていたのが、最近では車離れから、機械式駐車場の過剰台数により空き区画の増加から管理費不足、設備維持の為の改修費用が集まらない事から、取り壊し・あるいは平面化工事を実施して地下駐車区画を廃止、地上のみの平面化する動きが多くなっています。

それに反比例するのが自転車所有台数の増加です。それに伴い自転車事故も増え、道路交通法改正より自転車運転の取り締まりが開始され、最近でも新聞等で報道されていますが、目立たないところでマンション内の駐輪場問題が管理組合内でもクローズマップされているようです。

ここ最近の新築分譲マンションでは玄関ポーチのスペースを広く取り、自転車を置くスペースを確保していますが、少し前までは自転車は1階敷地奥の駐輪場に自転車を並べる、ラック付きに押し込んだ状態で犇いて駐輪していましたが、1台数十万円以上する自転車が市場に出回り、各戸の専用使用部に保管するのが主流となりつつあります。

そうなると、2階以上の居住者は必ず自転車をエレベーターに載せなければなりませんので、稼働率が一気に増加し、エレベーターの台数とエレベーター使用者との利用率のバランスが崩れてきているように思います。

自転車のエレベーター利用による影響と支障

一般的なマンションのエレベーターのほとんどが9人乗りの大きさのかごであり、その奥行きスペースは1520mmとなっています。

この長さでは、流行りの電動アシスト自転車を載せるには、少し無理があるのですが、ハンドルをいっぱいまできって何とか押し込んだ状態でエレベーターに載せています。

途中階で乗り合わせた乗場の利用者は、一旦見送って再度呼び登録するしかありませんので稼働率が増加していきます。

かご内側壁には自転車のハンドルが接触した傷や、背面壁にはタイヤ痕が黒く付着していたり、見栄えが悪くなるのでマグネット式の保護マットを交換するのですが、エレベーターかご扉についてはそういった養生マット、シート等の装着はできないので、表面貼付のダイノックシートを貫通して鋼板下地にまでひっかき傷が及んでいます。

駐輪場新設設置し、自転車のエレベーター利用を分別・抑制した事例

そういった実態を受けて、自転車保管に関する規約変更、制定してエレベーターリニューアル工事と絡めて問題解決を図る管理組合様もいらっしゃります。

こちらのマンションでは、築50年経過しておりマンション専用の駐輪場が敷地内にはなく、各戸の玄関周辺廊下や、エレベーター乗場横の空きスペースに割り当てて駐輪していましたが、電動アシスト自転車等の大型化により、スペースが追いつかなくなり、通行にも支障がでるくらいなりました。

尚且つ、駐輪中電動アシスト自転車のバッテリーからの発火事象も受けて、共用廊下に大型自転車を置くのは危険だと管理組合内で議論され始めたのと同時期に、エレベーターのリニューアル検討時期が重なり、エレベーターをかごごと新規に入れ替えたタイミングで、大型の電動自転車のエレベーター積載を禁止し、その代わりに1階敷地に駐輪場を新設する計画を同時並行で検討、計画、実施されました。

それでも、マンション内すべての住民の自転車を新設駐輪場で賄う事はできなくて、希望者を募ったところ申し込みが殺到したようでした。

この事例のように、その時の時代の流れにより住民のニーズをくみ取り、エレベーター保全と絡めて問題点を解決できるケースは、日本全国にたくさん当てはまるのではないでしょうか。

勿論、自転車駐輪場が敷地内に設置できる容積率等、法規制をクリアにしまければならない課題がありますが、現状維持の保全管理より、利便性向上を目的とした理事会は前向きで活気があるように感じられました。

自身が所有する自転車の長さがエレベーターにとってどういった影響を及ぼすのか、自覚を持つきっかけとなるように、1階玄関の床に自転車を置いて長さが認識できるように掲示をして、いろいろな工夫、取り組みが見られます。

自転車積載機能を備えたエレベーターを設置する

新築マンションでは、エレベーターの奥行きを2000mmにして、設計段階で自転車積載を想定した13人乗りのエレベーターに、背面にもう一つの出入口扉のある2方向出入口で、より利便性を向上させたエレベーターや、9人乗りトランク付エレベーターを全撤去して、奥行き2000mmの13人乗りエレベーターに入れ替える改修提案や、エレベーターと自転車利用の関係性がここ最近でより強くなってきているように伺えます。

安全性最優先で機能性、保守性をバランスよく検討

とは言っても、従来仕様のエレベーターでは基本思想としては自転車を載せての運転を想定した設計にはなっていません。

2006年の東京でのエレベーター挟まれ事故では、エレベーターかごが乗場に到着し、扉が開き、自転車に乗ったままエレベーターに乗り込んだところに急上昇した非常に痛ましい事故が発生しました。人間は何か一つの事を動作していると周囲の異変に気付くのがどうしても遅れてしまいます。

金沢のホテルでも同様の事故が発生し、2009年に法改正があり、戸開走行保護装置設置が義務化されました。以降は戸開走行に起因する傷害事故等は発生していませんが、やはり従来機種では自転車をエレベーターに日常的に載せるのはお勧めできません。

安全性もさることながら、エレベーター機器としても狭いかご室では扉や側壁にダメージを与えてしまいます。自転車の後輪部にあるスタンドにかご扉が接触、挟まれたりして扉の起動がズレて不具合となる事象も数多く存在します。

自転車の利用環境、利用状況を考慮しつつ安全性と利便性を両立させた規則として規約、細則の改訂や、エレベーターリニューアルの仕様検討にお気軽にご相談ください。

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