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補助金

エレベーター防災対策改修の補助金について

2024年5月2日

2024 05 02
図面を広げて検討する人々

エレベーター改修工事補助金制度の意図と目的

国の新設エレベーターへの戸開走行保護装置設置義務化は、施行開始から今年で15年経過し、既設エレベーター含む最新の設置状況は全体の35%と今年1月に国土交通省プレスリリースされました。
報道発表資料:エレベーターへの戸開走行保護装置の設置率は35%~戸開走行保護装置の設置状況を調査~ – 国土交通省 (mlit.go.jp)

戸開走行保護装置設置の義務化が施行される前の既設エレベーターに対しては訴求適応されないので、この数字をどう捉えるかは見る人の立場、見方によってかなり違いがあるでしょう。

戸開走行保護装置の設置が義務付けられている新設エレベーターの台数は例年25,000~30,000台でこの15年間推移していますので、ざっと375,000台~450,000台が戸開走行保護装置付きの新設されたエレベーターがこの35%に含まれているはずです。

サンプル数が令和4年度の定期検査報告が行われた約76万台とあったので、この35%は義務付けられている新設エレベーターが大半を占めているのでは?と推察してしまいます。
要するに既設エレベーターについては法的義務がないので、それほど戸開走行保護装置の設置は進んでいないと思います。

もう少し細かい現実的なデータがあったので紹介します。

全報告台数 755,590台 設置台数 261,789台 うち、任意設置台数 65,513台
この任意設置台数が既設エレベーター改修工事で戸開走行保護装置を設置した台数で設置率は8.6%となります。

だから、支援措置として地震対策と抱き合わせで、今回、補助金の上限枠を拡大して、設置促進を図ろうとしているのではないのか?と思われます。ただ、補助金の適応条件のハードルが高い状況は変わっていません。

関西圏では大阪市、堺市、神戸市が補助制度を創設しましたが、神戸市が本年度は打ち切ってしまいました。

地域ごとの戸開走行保護装置の設置

「事業要件の内、3大都市圏、人口5万人以上の市、地方公共団体が指定する区域」

その中で先程の地方行政ごとに戸開走行保護装置の設置率を見ていきますと、

東京都 
176,235台(全報告台数) 62,976台(設置台数) うち任意設置台数19,420台 11%

横浜市
29,438台(全報告台数) 10,325台(設置台数) うち任意設置台数2,604台 8.8%

名古屋市
26,416台(全報告台数) 8,776台(設置台数) うち任意設置台数2,473台 9.3%

京都市
14,174台(全報告台数) 5,512台(設置台数) うち任意設置台数1,102台 7.7%

大阪市
44,990台(全報告台数) 15,085台(設置台数) うち任意設置台数4,576台 10.1%

堺市
4,143台(全報告台数) 1,505台(設置台数) うち任意設置台数304台 7.3%

神戸市
14,273台(全報告台数) 4,373台(設置台数) うち任意設置台数1,358台 9.5%

福岡市
20,631台(全報告台数) 7,231台(設置台数) うち任意設置台数1,947台 9.4%

都市圏の任意設置率は9〜10%前後なので、全国平均よりは高い数字と言えますが、やはりそれほど設置が進んでいるとは言えない状況です。

とは言え、全国で約65,000台のエレベーターが、任意で戸開走行保護装置を自己資金で設置している状況から、部品供給停止と経年劣化と合わせて、この機会にグレードアップした安全装置を設置しようとするのは、ベストなタイミングと言えます。

あらゆる角度から利用できるものは利用して、限りある修繕積立金を賢く、必要な保全改修工事の仕様内容に向けて検討するのも一つの有効な手段と言えます。

大阪市エレベーター改修工事補助金制度について

令和4年度から補助制度創設していますが、申請数は年間10件程度との事。

補助対象要件については、国土交通省が公表している内容と同じですが、エレベーター1台の補助金額は対象工事金額の税抜き23%、218万5千円が上限です。

今年の申請期間は令和6年12月20日までで、令和7年2月28日までに工事契約書等の実績報告書などの書類申請提出し、そこから審査、補助金額決定通知発行となり、令和7年4月30日までに補助金請求の支払い手続きとなります。

交付申請から交付決定してから工事契約締結し、実績報告してから審査・補助金額決定通知とフローチャートに記載されてますが、この契約工程で書類作成、手続きをして工事発注、製作開始して補助金請求の4月末まで工事完了させるのはかなりタイトなスケジュールです。
管理組合、工事業者ともにハイレベルな意思疎通能力と、理解、把握、確認作業能力が必要です。

また、この補助制度には、

  • 構造躯体が地震に対して安全な構造の建築物に設置されているもの
  • 改修後の必要要件工事全てが改修時の建築基準法施工令の規定に適合する事は必要

といった条件があるのですが、どういった基準と尺度で、どのように判断されるのか不明です。
新築設計時の確認申請に匹敵するボリュームの計算書なり図面が必要なのかもしれません。

担当窓口である大阪市 計画調整局 建築指導部 建築確認課に直接ヒアリングしなければならないと考えています。
大阪市:大阪市エレベーター防災対策改修補助事業について

堺市エレベーター改修工事補助金制度について

ほとんどが大阪市の内容と同じですが、一つ追加されている要件が堺市にはあります。
その要件は『高さ31メートルを超える建築物に設置されているもの』です。
大阪市にはこの要件はありません。
全国的に見ても見当たらないのですが、なぜか堺市がこの内容を掲げています。

高さが31メートル以上となると、およそ15階建て以上の高層マンションに限定されます。
大多数の中低層の一般的な共同住宅は対象から外れてしまいます。

さらに、高層型のエレベーターは特注設計なので、メーカー系保守会社でしかリニューアル工事実績がほとんどないのが現実です。

かなり、対象枠が狭い補助申請となってしまっています。

また、申請書類様式の中に「堺市エレベーター防災対策改修補助金事前協議書」に申請者の代理人が申請事務を行う時は委任状が必要と代理人は管理組合と工事の契約をした施工業者かつ1級建築士に限りますと記載された項目があります。

独立系保守会社では新設工事を業務範囲としていないので、1級建築士のスタッフを揃えていません。先ほどの31メートル以上の建物の条件と合わせると、ほぼメーカー系保守会社しか申請できない内容となってしまいます。

少しでも防災環境レベルの高い建築を送信して地域内の安全安心な住居を増やす事が、この補助金制度の趣旨であると私は汲み取っていますが、相反する要件になっているで、その真意を確認したいと思います。
こちらも堺市の建築都市局 開発調整部 建築防災推進課に直接ヒアリングする予定です。
エレベーター防災対策改修への補助内容 堺市 (sakai.lg.jp)

今後も継続して、エレベーター改修で利用できる補助金制度について、皆さんが少しでも活用できるように、明確で利用しやすくなるように、サポートしたいと考えています。


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