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リニューアル 故障・修理 私たちについて

エレベーターリニューアル納期長期化問題の解消は国内回帰と人材育成

2025年9月21日

2025 09 21

エレベーターリニューアル市場を取り巻く環境について

コロナ禍の影響から、海外生産工場からの半導体が国内に入ってこない、納期が1年以上、数か月単位で値段が上昇・・・と騒がれてから早、2,3年が経過しようとしていますが、現在の納期長期化と価格上昇の要因は世界的な物資不足と円安によるものと人員不足が一般的な見解でしょう。

エレベーター部品でも、制御系基板や動力系部材についても、そのほとんどが海外からの輸入によるものなので、突発的な劣化故障で在庫がないと、海外から輸入調達で数週間かかる等、消費者にとっても重大な影響を受けるケースが増えてきています。

その上、そういった故障原因、部品特定、選別から調達にかかるロジスティックの専門職ベテランが若者の人手不足から引き継がれなくなっていたり、輪をかけての遅延延滞が現場では頻発している様子です。

こういった状況は、エレベーターに限らずあらゆる産業に共通して起こっている事であり、すぐに解決、解消する問題ではありません。

しかし、その根本原因である部品供給終了期限を設けている製造会社がコスト削減と工事売上拡大の為、市場ではリニューアル市場の拡大が今後も継続していく事は間違いないでしょう。

消費者として、こういった状況を踏まえて計画的に効率的かつ慎重にあらゆる方面からの情報を収集してアップデートし自らのエレベーター設備の保全に備えなければなりません。

私はこの局面をどうにかして、供給者側と消費者側の両側面から支援出来るような何かを模索していく事にしました。

そんな時に、あるエレベーターの制御関係メーカーの製造工場の視察見学に行く事になりましたので、その一部を紹介したいと思います。

国産エレベーター制御盤の製造現場

国内でリニューアル工事の対象となっているエレベーターは所謂、規格型と呼ばれる6,9人乗りの中低層(~14、15階まで)のマンションが6、7割以上を占めています。そのほとんどが5台メーカーで占有されていいますが、メーカー系保守会社と独立系保守会社の保守契約、リニューアル工事契約の激戦市場となっているのです。

保守契約に関しては、国で決められた1年に1回の定期検査報告制度により専用様式に則って、各項目を昇降機検査資格者により管轄機関に報告され、その維持保全に定期的な点検業務による保守契約をエレベーター保守会社と締結していますが、どの会社であっても、国で定められた項目をベースとしているため、その作業内容に会社の独自性はありません。

遠隔リモート操作で地震災害時に閉じ込め故障の救出や定期的な運航データの収集、タワーマンションのような特殊技術が必要なエレベーター以外は、メーカー系保守会社以外の独立系保守会社がほぼ対応できる市場構成となり、価格による競争原理から進行してきましたが、ここ最近になり人件費の高騰と人員不足から下げ止まりの様相が見え始めました。

リニューアル市場についても、主要部材である制御盤、巻上機を中心に制御ケーブル、操作盤、スイッチ類、ロープを構成する制御リニューアルが8割を占めていることから、基本パッケージ化された商品ラインナップとして営業展開が図られています。

先述の点検項目同様、エレベーターの各構造は国が厳格な規制により製造されていて、基本的な構造、仕様に大きな違いはありません。

ここにメーカー系保守会社によるリニューアル製品と独立系保守会社によるリニューアル製品の基本となるコンセプトに明確な違いがあるのです。

メーカー系はその年代のその特定された機種に対してリニューアル製品の開発を行うのに対して、独立系はできるだけどこのメーカーのエレベーターの制御、各部材にも整合させるように幅広く、バランスを図った製品コンセプトで開発製造するので、おそらくそういった違いから、1台あたりの製造コストに差が生じているのではと推測しています。

視察の生産工場ではエレベーターの最も主要で重要な制御盤を中心に、各操作盤、かご上操作ボックス、制御ケーブル等をアッセンブリ、加工し、出荷前検査し、現場に発送するのですが、そのすべての工程をこの1か所の工場内で賄っているのです。

製造過程で何かトラブルがあったとしても、即座に確認、究明、対応、対策が可能であり、何よりも問題、改善に対して明確に取り組める事と作業が一貫しているのでスピーディーに物事が進行している印象を受けました。

以前では、現場でトラブルが発生しても、窓口からその原因、問題がどこの部署の、どこの調達先なのかから始まり、そこに依頼し検証するまで数日、数週間かかり、対応品が発送される頃には1か月以上経過するといった顧客満足とはかけ離れた惨状が現実に起こっていましたので、そういった緊急時の対応に関する安心感、信頼性を感じる事ができました。

数年前から、大半の部品を海外から1式調達していたが、円安、調達難から数年前に生産拠点を国内に移し、この工場の1か所の1か所に集約し、問題が発生しても即対応、改善が可能で現在では品質もかなり安定しているとの事。実際、数年前に設置された現場からは不具合もなく、オーナーからは満足度の高い評価をいただいていました。

実績、イメージ、品質と顧客対応力がエレベーターリニューアル選定ポイント

自分以外の多くの区分所有者が利用する共用設備であるエレベーターリニューアル工事会社の選定作業なんて、突き詰めていけばこれほど難しい検討作業はないのでは?と自分では感じています。

今までの経緯や流れで、値段も高くても一番リスクの少ない会社でいいのではないか?が正直な理事長様の心境だと思います。

しかしながら、輪番、くじ引きでたまたま、理事長になってしまったとはいえ、マンション管理の責任者である管理者となったからには善管注意義務が生じてしまうので、出来る限りのいろいろな検証、検討はしなければなりません。そんな中、ネットで調べて数社から見積もりを依頼し、高い、安いで多数決で決定する管理組合理事会がほとんどだと思われますが、見積書にはこういった内面的な情報なんて記載されてませんし、数字だけで決定して、内容、中身が不明のまま、決定して工事中、工事完了後に大きなトラブルとなっている管理組合様の相談も多く聞きます。

ここは、業界全体に精通した専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか?

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