
ロープ式に入れ替えるか、油圧制御リニューアルかの選択
油圧式エレベーターの部品供給終了が各エレベーターメーカーから公表されてから、機械室レスロープ式エレベーターに撤去、準撤去新設工事の案内が進行していますが、もう一つの選択肢として油圧式をロープ式に入れ替えることなく、油圧式のままで油圧ユニットと制御盤を交換して、その他は既存流用する油圧制御リニューアル工事が主に独立系保守会社中心に採用実績が増加しています。
理由はロープ式準撤去と比較しても3,4割のコスト減と工事期間がロープ式だとエレベーター1台、1,5~2か月必要に対して油圧制御リニューアルでは10~14日間と工事期間中のエレベーター停止期間が極端に短縮できる利点がある為です。
昨今の技術革新による安全面に関する周辺事情、地球環境面で油圧式は旧式、時代遅れで使用電力等のランニングコストでもロープ式にメリットがあるといった見方もあります。
どの選択肢でも個々のマンション事情、所有者、管理組合の方針、将来計画によって様々となりますが、割合的にはやはりコスト面を最重要視されるケースが多いように思います。
今回、油圧式制御リニューアルを検討される際に、現在マンションに設置されている油圧式エレベーターについて、確認、把握しておかなければならない事項を紹介します。
エレベーター動力・建物ブレーカー容量の確認
エレベーター会社に油圧式エレベーターに対して、油圧式の制御リニューアルを検討しているので見積がほしいと目当ての独立系保守会社に依頼すると、まずは現地調査が必要となって、営業担当者が現地訪問、エレベーター機械室の入室、各乗り場とかご内と敷地内周辺の確認作業と合わせて、直近の定期検査報告書や契約先保守会社の点検報告書の閲覧等の要請を受けますので開示すると数日から1週間程度で見積が提示されてきます。
この時点では、提示された工事金額、工事後の保守費用と付随する工事の解説・提案書の説明案内があり、検討が進むにあたり最終段階に入ったタイミングで、“稀ですが、新しい油圧ユニットに入れ替えた場合、現在のブレーカー容量では足りない事があります。その場合はエレベーター専用ブレーカーを、容量アップしたものに交換する必要性があるのですが、そういった工事はエレベーター会社ではできないので電気工事会社に依頼してもらう事になります。”といった打診を受けるケースがあります。
これは、すべてのエレベーター会社に当てはまるわけではないのですが
発注者からすると、もしそうなった場合は想定外の追加費用となるので
詳細確認する事となります。稀と言ってもそういった不確定要素は現時点で確認しておきたいので、そのブレーカー交換の可否についてはっきりとするように調べてくださいと発注前に要請してください。
即答で“必要なし”の場合もあれば、“再度現場調査が必要なので敷地内の分電盤を確認させてください。”となるのでその回答を持ってブレーカー交換は不必要なら、すでに取得した見積で最終検討すればいいのですが、“電動機容量が既存よりも〇〇KW増大するので、おそらくブレーカーを交換される事をお薦めします。”といった回答ならば、別で電気工事業者に依頼してその容量に見合ったブレーカー交換の見積を取得しなければなりません。エレベーターの油圧制御リニューアル工事見積額とブレーカー交換見積の合算金額が必要な支出となるのが、こういったケースの注意点となります。
ブレーカー交換工事に伴った付帯工事の事例
エレベーター会社からブレーカー交換推奨の打診を受けたとなると、電気工事会社を捜索して見積の依頼をこちらでする事になります。
建築設備業界どこもそうですが、電気屋も人手不足よりこのような小規模な見積要請に応えてくれる等もあり捜索に手間がかかったのと、現場調査派遣に思ったよりも時間が経過したり、一度現場調査したが、再調査が必要となったと2回に亘っての調査となった場合もあります。
その再調査が必要となった場合に多いのが、ブレーカーだけの交換では済まない、その動力値に見合った敷地内幹線の引き直しの見積が出されるケースがありました。
そうなると油圧制御リニューアルの最大のメリットである工事コストの優位性がなくなる検討結果となり、即座にそのエレベーター会社からの提案は却下となったのでした。
幸い、今回はエレベーター工事発注前だったので別のエレベーター会社による提案に切り替えて事無きを得たのですが、タイミングを見間違えると大きなトラブルとなり得る事象と言えます。
このブレーカー交換問題から、この結論までに費やした期間は約1か月でしたが、エレベーター会社、電気工事会社、オーナー様とそれぞれの協議検討作業は複雑で、それぞれの情報共有化が難しく、結論までに多くの時間と労力を要した結果となりました。
ブレーカー交換が必要かはエレベーター会社の油圧ユニット製品による
一言に油圧エレベーターと言っても実は、そのユニット内の構造、形式、油圧ユニットメーカーによって様々となります。
新規に入れ替える油圧ユニットの電動機容量から、ユニットタンク容量、建物階高による昇降路内シリンダー内の容量、昇降速度から既存設置の従来ブレーカーでの検証については、厳密には油圧専門技術者による現地調査が必要なのですが、現実的には営業担当者の現地エレベーター図面、ユニット製造銘板、分電盤内ブレーカー容量値確認情報の伝達によるものがほとんどです。
そういった事を踏まえて、既設容量を超えない電動機ユニットをリニューアル製品としているエレベーター会社はこういった話はしなくて済むのですが、どのエレベーター会社はどういった油圧ユニットを製品としているかまでは、把握できない分野となるので、せめて新規に設置する油圧電動機容量はいくらで、既存よりどれだけの変動があり、ブレーカー容量の確認も行っているのか程度の要請はする必要があります。
油圧エレベーター制御リニューアル工事の専門家による相談窓口
“ロープ式の撤去新設工事よりローコストだから、採用、決議”だけではなく、見積金額以外の隠れたリスク、確認事項は事前に把握して想定範囲としながらの検討が理想となります。
しかしながら、皆様は初めてのエレベーターの大型改修工事を経験される事になり、事前にこういったリスク回避は難しいのが現実です。
経験実勢豊富な専門家を効果的に利用して、トータルコスト削減とともに安全性、利便性を向上させたエレベーターリニューアル工事の検討作業をぜひ、お勧めいたします。



