
メーカー系保守会社と独立系保守会社のリニューアル製品、仕様に対する考え方
同じエレベーターに対して、メーカー系保守会社と独立系保守会社の立場で顧客に対しての接し方、提案内容、営業戦略等について、まるで違うといった現実が存在しています。
私は某外資系メーカーに約20年勤務していて、その間の15年間が建築設計事務所、ゼネコン、工務店を対象とした新規設置営業、5年が既設保守契約先を対象とした保守営業の後、某大手独立系保守会社に6年勤務し、その間は主には新規問い合わせがメインのリニューアル営業を約4年、その後リニューアル営業、既設保守現場対象の保全営業とその延長でリニューアル営業と新規保守営業といった独立系保守会社の営業全般を経験しました。
エレベーターは機器のあらゆる箇所が国の規制に縛られていて、独自性、特異性を出す製品、オプションが販売しにくい市場構成になっています。
世界レベルでも安全性が高いと言えますが、自動車と違って海外のエレベーターメーカーが日本市場に製品を投入しにくい大きな要因となっています。それでも、国内メーカー系保守会社は自社の安全性に関する製品ポリシーや、設計思想をリニューアル製品と顧客現場のエレベーターに当てはめて製品のPR活動を展開しています。
まず、大きな方針としてリニューアル工事の機会に既存不適格は解消するべきといった提案を確たる柱として案内されます。
確かに国交省もエレベーター事故防止に耐震対策、戸開走行保護装置の設置を推奨し、自治体に対しても補助金対象の条件に既存不適格解消を挙げています。戸開走行保護装置は国交省の認定を受けた製品なので、開発コストもかかるので、リニューアル工事にプラスすると1台150~200万円以上のコストアップとなるのですが、メーカー系保守会社のリニューアル見積では、標準装備となっているのです。
その為、本体標準価格がその分独立系よりもかなり割高になっているので、きちんとした説明を受けないとメーカーは高いといったイメージが先行してしまいます。標準仕様は見積には項目として記載しないので見ただけでは仕様として含まれているかが判別できません。
カタログ、リーフレットを見ると機能説明があり、【標準仕様】と注釈されているので気付きにくいと思います。
安全性を重要視される所有者様は、ぜひそういった機能面についての説明を詳しく聞かれる事をお薦めします。
修繕予算がギリギリである、むしろ足りないくらいだといった所有者様が
ほとんどだと思いますが、その場合はコストを最優先されるケースとなるでしょう。メーカー系には目もくれない、独立系を何社も当たって最も安いところはどこか?といった選定作業となりますが、必ず、設置しているメーカー系の保守会社の見積も参考に取るべきです。金額面では格差があり、検討の余地はなくてもそのエレベーターの基本性能、機器の特徴、想定外のオプション仕様があって、値段の問題よりも優先するべき事項の存在に気づかされるケースがあるかもしれません。
あと、現在すでに保守を独立系で何年も委託していてリニューアルを検討する際にも、基本のベースは既契約の保守会社であり、その他数社の独立系保守会社と設置機種メーカー系の見積の説明を聞くことを推奨します。
独立系保守会社でも、リニューアル製品開発に力を入れて独自開発の設計思想をもった製品を展開する保守会社も最近多くなっていますので、より検討材料が充実します。
メーカー系保守会社と独立系保守会社の営業担当者の考え方
メーカー系・独立系 どちらが、いい・悪いではないですが、メーカー系の新設営業ではお客様が設計事務所の設計者、ゼネコン購買担当者、工務店の現場監督なので、いわゆるプロ同士の折衝となるので、理論的かつ、効率的な面があるかと思えば、突然上層部からの天の声が降ってきて、大型受注が決まったり、最安値で他社を圧倒的にリードしているにもかかわらず、施主の意向がゼネコン経由で発せられて、失注したりと、何をどうやったらよいのかがよく分からない状況で普段活動していたのを覚えています。
対してメーカー系、独立系の保守営業は対象者が一般のビル、マンションオーナー、管理会社の管理担当者、総務、施設管理担当者なので、より分かりやすく、理解を得やすい説明や日常的なコミュニケーションが大事だったと思います。
新設営業は雲の上で採用・不採用が値段や製品内容で決まるのではなかったので、お客様とダイレクトに直接話をして、現地エレベーターを良く調べ上げ、最適な提案をお客様に勧める営業活動が正直楽しくもあり、逆につらい面もありました。
上記のように、メーカー系では製品を新しく開発して、新規製品をどんどん売り込むのがメインとする営業活動であり、独立系のような値段の安さをアピールし、どんどん新規の保守契約数を獲得していく営業スタイルとはかなりの違和感を感じながらの営業活動でした。
なので、メーカー系では月ごとの営業実績の報告は、売上金額とその利益率であり、独立系保守会社では、その月に何台の保守契約がどこで受注したのがかが問われていたのを覚えています。
ここでエレベーターリニューアルに焦点を当てて考えてみると
メーカー系、独立系ともに部品供給終了期限までにリニューアル工事の契約を受注する目的までは共通なのですが、アプローチ、プロセスの過程が違ってきます。
メーカー系は自社製エレベーターしかターゲットにしないので、じっくり慎重に営業戦略を練ります。いきなり金額を提示していかがですか?!といった強硬な手法ではなく、設置から何年経過して一般的にはこの年代になると劣化も進むし、技術開発も進歩してより安全性、省エネに対応したエレベーターに改修しませんか?といった、あくまで必要性から技術的な中身についてのアプローチがあります。そこである程度理解が確認できると、具体的な内容が記載された提案書を提示してきます。事前に説明していた必要性の高い工事、社会的にもエレベーターは安全性が求められている、今後もより安心、安全に管理を継続していくにはリニューアル工事を検討して、昨今の物価高、中東情勢を考えても早期に決断するのが得策といった流れになります。
実際は、すぐに契約しても1年先以上になるのですが、人員不足をいかに計画的に配置させて効率よく工程に組み入れるかが大きな経営課題となっているので、最終判断のタイミングに一気に本格的な見積書を提示します。
提案書の段階で提示する金額は概算なので、ここに至るまでの商談状況によって、金額は変わってきます。
独立系のリニューアル営業の一般的な流れとしては、現在契約している顧客のエレベーターよりも、実は新規問い合わせで見積要求されて提示、商談、受注・失注といったケースが多いのです。
ですので、見積依頼があればすぐに現場調査して、必要最小限のお決まりの仕様で見積を出してコストパフォーマンスを前面に出してのスタイルなので、見積仕様と金額を見極めなければ本当に安いか高いかが判別がつきません。昨今は保守点検契約切替のみの見積を依頼するより、リニューアル工事の見積依頼が多いので、営業のプライオリティも既存顧客よりも新規顧客獲得する方がリニューアルと保守契約がセットで受注するので、よりそういった傾向が強くなっている様です。
尚且つ、ここ最近はネットでの情報が散乱しエレベーターリニューアルは相見積もりを依頼すれば安くなるといったイメージが広まっているのではないのかと思われます。
確かに、相見積もりをたくさん取ればその内、安い業者が出てくるのは間違いではありませんが、見積仕様、必要とする内容やその会社の実績や評判等不明なまま契約して着工段階や引き渡し時でおおきなトラブルとなるケースをよく聞きます。
エレベーター業者選定作業は専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討するべき
今時では、世の中ほとんどの事がネットで検索すればそれがどんなモノでいくらくらいなのか、評判は・・・それこそ、AIがそれなりに回答して
100%信用してしまったりするのですが、本当の本質に至ってはやはり人間が独自に考え抜いて判断する事がこれからの時代も当然の事であるのにと私は思います。
その判断する際の材料の一つにAIなのか?専門家の助言、アドバイスなのか?
迷われたらなら、まずはお問い合わせください。経験と実績による的確な助言、回答を提供していきます。



