
中東情勢の影響下で油圧式エレベーターリニューアル工事の現状
ここ最近になって、日本国内の原油、ナフサ不足から建築資材、特に塗料、溶剤の流通がかなり深刻な状況をマスコミ、メディアが報道しています。
国の発表では、十分な供給量は確保しているという内容と末端の作業現場状況との乖離が大きな問題となっていますが、エレベーター業界にとっても、かなり深刻な影響が出始めています。
その一つが油圧エレベーターでは欠かせない作動油の供給状況です。
今現在、5月の下旬に差し掛かってますが、6月以降の油圧エレベーターリニューアル工事に必要な作動油ドラム缶の目途が立たないといった話を聞くようになりました。
1台の油圧ユニット内タンクに約300ℓ必要なのですが、単価が数か月前
と比較して倍になり、それでも入荷できないといった異常事態です。
作動油は油の性質上、長期間の保管ができないのでその都度発注して取り寄せなければならないので、戦争が始まってすぐに発注手配してストックしても、この5月、6月までの確保が限界だったと工事業者さんがこぼしていました。
苦肉の策として、一旦既存のユニットタンク内の油を汲み取って、旧作動油をクリーニング洗浄にかけ、新規油圧ユニットタンク内に暫定的に注入し急場を凌ぐしかないと言っていましたが、親油が入荷したら再度油の入替を行うので、2回の現場作業が発生し油単価と人件費のコスト増の2重負担増となり、経営を圧迫する情勢がどこまで続くのだろうか?と真剣に頭を悩ませています。
油圧式エレベーターリニューアル工事の経緯
2024年度データーでは国内油圧式エレベーターの保守台数は
約58,000台とされています。
今から20年前のピーク時は10万台以上だったので、約6割となりましたが、減少率は緩やかに年間1000~2000台ずつの減少傾向ですが、この理由はやはりロープ式への完全、準撤去入替工事の金銭的、工期的問題が大きいと思われます。
一時期はマシンルームレス型ロープ式エレベーターによる最新式に入れ替わる総工事費と、油圧式のまま制御部(制御盤、油圧ユニット、その他電材品関係)の改修工事では6,5割の差額と工事中の利用停止期間がロープ式の場合1,5~2か月に対して10日間~14日間と大幅に負担率の違いによるものです。
特に、現状の油圧式エレベーターに不都合を感じていない利用者からすると、そこまでの負担を要してまでロープ式に変更する必要性を感じないのは必然の事なので、この改修工事の機会にメーカー系保守から独立系保守へ切り替える消費者が特に油圧式エレベーター所有者に、多い結果となっているのではと思われます。
一部では、油圧式エレベーター=時代遅れ、電気代がロープ式より高い、独特な着床時にフワフワとした乗り心地等から最新式の安全基準によるロープ式エレベーターに入れ替えて、建物全体としてのグレードアップを図るといった考え方もあります。
工事予算と居住者、利用者間の考え、総意のバランスで決する事になりますが、いろんな角度からの検証が必要になります。
油圧エレベーター所有者様へ制御リニューアル工事の最新検討方法
エレベーターリニューアル工事のような高額工事の検討では、検討開始から、決定、発注・契約まで、早くても半年、大規模な団地では1年程度の検討期間を要する事となります。
今現在、ある程度の検討を経て発注先が1社に絞り込めた段階であるならば、最終決定前にその業者の見積有効期限を確認しましょう。
ほとんどの会社の見積有効期限は90日・3か月となっていますが、検討開始から見積もり依頼して、見積提出されてから数か月以上経過して、いざ発注段階となってその保守会社としばらく、コンタクトを取っていなかった場合、発注内示の連絡が逆に、その値段では請け負えないと断られる可能性が、現在では十分可能性としてあり得るのです。
先述でも申し上げたように、この1,2か月の間で作動油単価が2倍、その他の部品類も軒並み値上げしていて、半年以上経過していれば、有効期限切れを理由に再見積もりとなり、2,3割アップの再提示となってしまったケースがありますので、最終段階の手前でそういった踏み込んだ確認をぜひとも、推奨します。
油圧制御リニューアルのオプション工事として、かご内ダイノックシート、壁にマグネットで装着する保護マット、床に敷くゴムマットについてもナフサが原材料となっているので、供給不足になっています。
エレベーター会社を通じて下請けの意匠工事業者に確認要請して工事全体の予定納期に支障が無いかの確認も必要です。
リニューアル工事対象となるエレベーターはほとんどが、30年経過してますが、それまでの保全部品交換実績はどの程度実施されているのでしょうか?現在の保守会社に過去の部品交換実績を閲覧提供要請をかけて、昇降路内のシリンダー継ぎ目にある、シリンダーパッキンや、プランジャーパッキンとかごとレールをガイドするガイドシューあるいはガイドローラーは定期的に交換されてきているのか?油圧式だからロープ式のようなワイヤ―ロープはないと認識されている方が非常におおいのですが、実は油圧式エレベーターでもワイヤ―ロープは重要な役割で存在します。
ロープ式のように機械室直上から吊り下げている構造ではありませんが、油圧ユニットから押し出された作動油がシリンダーを押し上げ、シリンダーの押し出す力をかごに伝えるのが、ワイヤーロープになります。
ロープ式のように常に荷重が掛かっている状態ではありませんが、かごが上昇する際にはワイヤーロープに張力がかかり、年数を経ると当然劣化もします。
油圧エレベーターリニューアル工事の保全オプションのシリンダーパッキンとワイヤ―ロープはぜひ、フルメンテナンス契約なら過去の部品交換実績の閲覧要求、いつに実施されたか、時期的にリニューアル工事での実施を想定していて、その工事がリニューアル工事のオプションに入っているならば、その内訳工事金額をリニューアル工事金額から削除するように要請してみましょう。この工事はメンテナンス契約の範疇であると主張すればその減額対象になる可能性があります。
その他にもここでは紹介しきれない程、特に油圧式エレベーターリニューアルについては注意点が現場ごとに存在します。
検討途中の相談でも遅くありませんので、お気軽にお問い合わせください。



