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リニューアル 保守(メンテナンス)

低濃度PCB廃棄物 エレベーター部品廃棄処理義務について

2025年12月14日

2025 12 14

PCBについて困っている・・・

数か月前からリニューアル対象である設置から25年以上経過しているエレベーター所有者様から深刻なご相談を受けるようになりました。

最初は聞きなれない用語なので、エレベーターに関係するのか?と理解、把握してませんでしたが、数年前にある大手管理会社から管理しているエレベーターにPCB対象のエレベーターはあるのか?と仰々しい文書が流れてきた記憶がありました。当時は独立系保守会社に所属だったので、エレベーターの製品内部の事については、エレベーターメーカーに直接聞いてくださいと対応して、それっきりだったのですぐには思いだせなかったのですが、今全国の所有者へ大手エレベーターメーカーがこぞって自社製品の制御盤にPCBが含有された部品については、2027年までに所有者の責任において処分廃棄してくださいと案内しているのです。

それまでは、なんとなくアスベストと同じような問題なのかと思っていましたが、エレベーター機器に直接かかわってくるので対象機種エレベーターを所有していれば、避けては通れない問題となります。

高濃度のPCBについてはほとんどがエレベーターには使われていないと思うので、すぐに有毒性が高い事から対処しなければならない、とまでではありませんが、低濃度PCBでしかもはっきりとその部品にPCBが混入されているのか?まで分からない中途半端なエレベーターが多数存在しているようです。

本日はそのうちの2つの事例について紹介します。

リニューアル工事を控えたエレベーターがPCB対象機種

設置された年式から、PCB対象のエレベーター相当数がリニューアル対象機種の割合が多いのは予想しやすいでしょう。

昨年からリニューアル業者選定を進めて、今年の春に施工業者決定をしたある管理組合ですが、メーカー系保守会社で50年間保守を継続してきましたが、今回のリニューアル工事で他社に代わり、来年の春頃に工事着工なので、その前で解約となるエレベーターについてのエピソードになります。

ある日、いつものように担当作業員が定期点検終了後に管理人室に作業報告に管理人さんに伺った際、“低濃度ポリ塩化ビフィニル(PCB)に関するご報告”のタイトルの書類について、受領の署名がほしいと依頼されたのでした。管理人さんも初めて聞く専門用語の種類に加え、そういった書類に署名する権限もないので、今ここでは署名できない、管理組合に預ける旨、その作業員の方に申し伝えたのでした。

管理人さんから管理組合役員に渡り、理事長に渡り、そして今回私にこのよく分からない内容について教えてほしいと問い合わせが入ったのでした。

最初は、電話で“アスベストの書類を保守点検時の作業員が持ってサインをくれと言ってきた。どうしたらよいのか?”だったので、意味が通じなくてよくよく、現地管理事務所に行って話を聞き、書類に目を通して概要が把握できたのでした。

これは、点検作業報告の延長ですむ話でもないし、明らかに説明不足ではないかと思い、そこの事務担当者に連絡をしたところ改めて管理組合に説明に伺うので、理事長交えた場をセッティングする事となりました。

その保守会社の主張は、2026年春には他社リニューアル工事によって、保守契約が解約となる。今回国の指導により会社としてPCB含有製品の可能性のある機種を所有されるエレベーターについては所有者の責任において、期限である2027年3月までに適切に処理してもらうように説明責任を果たしたい。その証明に署名がほしいといった事でした。

こちらの保守契約はフルメンテナンス契約だったのですが、“PCB処理とその対象となる部品交換もそちらで取り行うのが筋ではないのか?2026年春には解約となるが、それまでは契約継続中であり、料金も支払っているのだから廃棄処理については保守会社で行ってほしい“

“本当にPCBが含有されているのか?それはどれくらいの量でその処理はどこにどうやって、費用はどれくらいかかるものなのか?”

“数年前に電気幹線工事をした際にキューブクル交換に同じ問題が提起され、その時も管理組合が廃棄処理した経緯があった。その時に打診

していれば一緒にできたかのかもしれない。なぜ、今頃になっての話なのか?解約になるからなのか?“・・・・・・

かなり、紛糾した様相となりましたが、確たる結論は出ませんでした。

改めて、“保守会社に確実にPCBが使用されているかが分かれば、検討する必要性が理解できるが、“PCBが使用されている可能性がある”だけでは高額な費用をかけて処理する事に納得がいかない。せめて、管理組合に廃棄処理をお願いするなら、どういった業者に代替いくらくらいでやっているかなどの情報提供もほしい“と要請しましたが、現在、その製品を製造した会社は存在しておらず、そこまでの事実確認はできない。廃棄処理方法と処理業者についても管理組合で調べて行ってほしい”との返答でした。

お互いが感情的になっている中、私の方で処理業務対応可能な業者が捜索できたので、現在はそちらから見積もりも取得できたので結局管理組合で行う方向性となりそうです。

もうすぐリニューアル工事に向けて業者選定する段階でPCB処理通知

こちらも部品供給が終了する油圧式エレベーターの賃貸マンション所有者様からの相談です。

数年前に購入したが、管理会社経由で部品供給終了なのでロープ式に入れ替え工事を勧められている。6階建てで戸数が20数戸なのでとても入れ替え工事は考えられないところに、その前にPCBの通知についてメーカー保守会社から案内がきているから、こちらも早急に検討してほしいと言ってきている。高額な工事を検討してほしいと言ってきては、よく分からない有毒物質の廃棄処理についても部品交換と合わせて実施してほしいとは、どうしても納得がいかない。詳細を聞いても管理会社にも明確な回答がなく、リニューアル工事するのに先に制御盤内コンデンサーの含有されているかされていないかよく分からない部品交換、廃棄処理に数十万の出費についての相談でした。

この問題は、先のケース同様、その背景、理由、中身、方法、大体の負担金額目安を丁寧に所有者に説明する事が必要です。

管理会社も建物管理のすべてを専門業者並みに知識が豊富な事はないので、ましては国のイレギュラーなそれほど一般的に広く話題になっていない事案について詳しくはないのが普通です。

業者選定のコンサルティングと合わせて業務委託させていただく運びとなりました。

こちらのオーナーの意見としては、この施策が発表されたのは前の所有者の時であって、その時に処理解決するべきを数年経過した今、オーナー変更した代で負担を強いるのか?前のオーナーとの分割折衝が筋ではないのか?・・・

皆様の意義主張が交錯するこの環境問題、いつも所有者と業者が振り回されている感じがします・・・。

PCB参考リンク↓

PCB分析機関 ≪日本電機工業会HP「PCB検査機関のご案内」≫

https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/pcb/p_6-2.html

PCB廃棄物の処理についての詳細は、以下の環境省パンフレットをご参照ください。http://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb-pamph/index.html

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