官民含む、慢性的なエレベーター改修工事の供給不足
先日も、ある建設会社からの見積依頼で県営住宅の大規模修繕工事入札にエレベーター改修工事が組み込まれており、エレベーター工事の見積を休み明けに出してほしいとの事。
入札金額を策定、応札するのに、有利なエレベーター工事の金額がどうしても入手できないので、方々のエレベーター会社に問い合わせたが、どうも満足のいく見積金額がでない様子でした。
見積提出までのリミットが正味2日間しかなく、面会、挨拶もなく取り急ぎメールで仕様書、設計図面、見積内訳様式等送られてきましたので、見てみると、やはり、オーバースペックな、お役所特有の仕様で固められていました。
年式は記載されていませんでしたが、恐らく既設設置した製造会社がこの入札仕様書、設計図に仕様書作成協力為されていて、ほぼそのメーカーでないと対応できない仕様が盛り込まれていました。
全くの新築工事ならこういった現象は起きないのですが、一部に既設機器を流用していたり、図面では対応の可否判断できない仕様があったり、極めつけは今から、入札して落札、受注しても来年の4,5月に完成期限となっていては、この市場状況で積極的に取り込んでいこうとはとてもならないでしょう。
建築と違って、エレベーターの工事仕様でそこのエレベーターメーカーでないと対応できない仕様がいくつかあるので、入札でそういった仕様を盛り込まれてしまっては、できるかどうかわからない仕様にリスクを背負って見積に参加はできませんし、現在の受注済のバックログの工事消化もままならない状況下で他社の管理していた案件を取りに行くことも、営業の立場ではやりたいでしょうが、会社の方針としては辞退せざるえない状況なのです。
見積不可の理由と合わせて丁重にお断りし、今度詳しくお話を聞きたいと思います。
過去の納期遅延問題ブログ↓
エレベーター新設・リニューアル工事遅延問題について – ブログ | エレベーターマネージメント (elevator-management.com)
エレベーター新設・リニューアル工事遅延問題について② – ブログ | エレベーターマネージメント (elevator-management.com)
エレベーターリニューアル工事 発注前後に検討、確認するべき事
皆さんが、エレベーターリニューアル工事の選定条件にもちろん金額、希望の工事仕様等、ブランドイメージとなる企業イメージによる安心感が重要な要素になるかと思いますが、今から発注したとしてどれくらいの期間で工事着工できるかも重要なファクターになります。
いつでもいいよ、といった方もいらっしゃいますが出来れば早く完了できるに越したことはないでしょうから、発注前の最終確認の一つとして必ずヒアリングし、合意後に大体の時期を契約書に盛り込むようにしましょう。
その、発注前後のタイミングで施工会社が一次回答で大体の納期回答をしやすく、より短い納期回答が得やすい極意が以下となります。
- 各社の標準スペック、ベーシックな仕様に出来るだけ近い内容で発注
- 出来るだけ、オプション工事を減らす。
- 交換必用最低限の仕様はどれで、既存流用でも十分問題ない箇所はどれかを明確に判別する。
- 工事施工環境について、明確に提示する。
材料搬入するのに経路、入口は狭くないか、材料置き場は十分確保できそうか等、事前に施工業者に明確にしてあげる事で着手までの工程が組みやすくなり、前倒しになりやすい時がある。
- かご内の壁、床や乗場の扉、三方枠のダイノックシート貼工事は内装リフォーム会社でも対応可能。エレベーター工事とは分離して別会社に手配する事も検討。意匠工事はエレベーター施工会社の下請け会社に外注する為、本体工事後でも元請け責任として管理立会が必要となり、人員が取られるので、できればエレベーター工事から外したい意向がある。
- 発注後、しばらくして工事に向けた現場調査が必要になります。昇降路内も、くまなく見ますので、数時間のエレベーター停止が伴う調査作業を、出来るだけ早く実施し、部品製作を早期開始させて工事予定時期を出すように要請する。
- 工事予定時期が提示されたら、例えば半年先の着工からなら、すぐにでも共用部の掲示板なりに貼り紙を掲示してもらい、必要なら集合ポストにもポスティングも依頼する。目的はもうこの時期を変更する事はかなり大変である事を認識させ、工程を確定させる事が重要。1年先でも掲示されたマンションもありました。
- 施工会社によっては、工事作業を自社社員でのみで行う会社と外注する会社に分かれます。自社の工事部隊は何チームの組織となっているのか、外注先は何社くらいで管理体制しているのかを聞いてみるのも意識付けとしてよいかと思います。
- 現在は人員確保の問題が納期長期化の最大の原因となっていますが、製作納期で一番ウェイトが高い部材が巻上機となっています。巻上機の一般的な製作リードタイムは約3か月です。その他の部材は特殊なケースを除き巻上機程はかかりません。巻上機の手配が一つの着工時期確定の要素になります。
日本国内5大 エレベーターメーカー部品供給終了機種 巻上機写真
以上が、受給者側からできる納期短縮折衝、誘導、取り組みとなります。
会社によっては、若干違う面もあるかもしれませんが、要は発注先を決めたら、後はすべてなんとかやっておけといった従来の施主:発注者と下請け業者の上下関係ではなく、共同作業者に近い関係でこちらで出来る事は協力して工事を出来るだけやり易く、効率よく作業が進めるような環境も作ってあげる事が全体工期の短縮になるのではと思います。
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