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エレベーターリニューアル工事における工期中の停止期間について

2025年7月13日

2025 07 13

エレベーターリニューアル工事 工程表

エレベーターリニューアル業者選択で、基準、指標の一つに工事期間(工期)が大きなウェイトをしめるマンションも少なくはありません。

最も主要な機器である、制御盤と巻上機を交換するのですから、工事期間中は当然、利用停止となります。

その期間が一般的な制御リニューアルであれば、1週間から10日間。手慣れた工事業者であれば、4,5日間で着工から引渡しまで可能なところもありますが、その期間が短ければ短い程、入居者様からするとメリットがあるのです。

大体、リニューアルするマンションは築30年そこそこの入居者様なので、高齢の方が比較的多いのです。

大規模なマンションなら、1棟に付きエレベーター2台が並んで設置されていたなら、1台を工事で停止中だが、もう片方の1台は利用する事ができるので、大きな問題にはなりませんが、1棟1台のエレベーターなら、成人男性でも、1階からの上り階段の6,7階くらいで大体息が上がってきます。

ましては高齢者の方、車椅子の方では生活に大きな支障をきたすので、工事期間、完全停止期間の短縮の解消などを大きな選択基準とするのも当然かと思います。

添付の工程表はロープ式、油圧式の制御リニューアルです。

いずれも、完全停止期間は7日間が標準的ですが、油圧式に関しては工事業者によっては10日間を必要とする場合があります。

〈搬入、搬出作業〉

ロープ式に比べて部品点数は多く、ロープ式巻上機に比べて油圧ユニットは大きいので、着工初日の機器の搬入、搬出で1~2日間の差となります。

搬入方法は多くの業者では新旧のエレベーターを使って、ロープ式なら最上階フロアから屋上機械室までのもう1フロア階層を独自の簡易吊門型を設置したり、壁にアンカーを打ち、チェーンブロックで下から上へ渡していったり、階段に足場を設置して吊りながら上げていったり様々です。

機械室位置付近の敷地に作業スペースに余裕があれば大型クレーンで一気に機械室扉まで運び入れたりします。

意外な事に、大型クレーン使用する方が、搬入コストが高いと思われる方が多いと思いますが、エレベーターで最上階まで上げてから、機械室まで人力で上げる方が、作業人数が倍必要となる為、作業コストそれほど変わりません。

但し、周辺作業環境に事前準備、注意が必要なので、作業スペースとなるクレーン設置スペースの道路使用許可、誘導員の配置、入居者駐車車両の通行制限、夜間作業が条件等から、マンション周辺の近隣への告知挨拶等

工事当日よりもこちらの方が大変なので、業者の工事進行の経験、実績によって差が生じてきます。

リニューアル工事で1番、入居者様に影響を及ぼすのはこの初日、二日目の搬入、搬出であり、3日目からは作業は主にエレベーター機械室、昇降路内と各乗場となるので、注意すべきは1階玄関からエレベーター乗場までに材料置き場、廃材置き場の区画養生がきちんとされているか、事前にそういった作業計画が管理組合に説明、住民にも認知されているかとなります。

〈エレベーター機械室内の作業〉

機械室内では、制御盤をセットし、各配線を結線していきます。調速機、地震感知器を取付、巻上機にロープをかけたり、各機器に溶接したり、サンダーでカットしたり、作業時の騒音が一番発生するのが機械室内での作業となります。

〈昇降路内の作業〉

昇降路での作業については旧巻上機を撤去する際にロープを外しかごを中擦りにするのでロープを交換した後、昇降路内のスイッチ関係や、制御ケーブル類、かご上にある操作集積ボックス、かごドア関係の取替となります。耐震関係の補強工事に関しても通常より1,2日間多く必要となっています。

〈各乗場の作業〉

工事期間中の各階乗場について、工期中で利用できない旨の表示がきちんとされているか、作業スペースの区画を明示する安全柵を設置されているかも確認が必要です。

作業中に扉が開いたままの状態で、安全柵もなければ何も知らない住民が近寄って転落してしまうリスクがあるので、徹底されなければなりません。作業内容としては、各乗場操作盤の取替と扉の調整になります。この作業は昇降路内作業と合わせて工事期間中完了まで一番期間を要する作業内容になります。

〈調整作業、検査〉

初日の搬入時はクレーンやトラックやで作業人員も最も多いのですが、徐々に工事後半に向けて人数は少なくなり、最終までの2,3日間は各部の調整作業になります、スムーズな起動着床、各フロアレベルに着床位置を合わせたり、扉の開閉速度、稼働時の音取りであったりと試運転、社内検査となり、合格して引渡しとなります。

この調整作業期間になると、見た目は取替られた状態なのでもうほとんど完成しているのではないか、と感じられる方がいますが、この調整作業が最も工事作業工程の中で重要なのです。

着工から数日間、毎日外出、帰宅の度に階段の上り下りと後半になればなるほど“もうほぼ出来てるのだからエレベーター使わせてもいいんじゃないのか?”、“予定よりも少しでも前倒しで引渡しできないか?”といったご要望をよく受けました。そこで、3日間の調整期間を1日短縮して2日間で仕上げる事として、調整の技術員に打診したところ、“2日間で調整を完了しろと言うのなら、それなりの調整で仕上げるのでかまわないが、それでいいのですか?”当時の私はその意味がよく分かっていなくて“お客様の要望なのだから、その要望に応えるのが仕事じゃないのか?それなりってどういう意味なのか?”と反感を覚えましたが、その意味が1週間後に身をもって体感しました。

夜間に一時閉じ込め故障が発生しました。“工事後1週間しかたっていないのにどうして不具合を起こすのだ!?”方々からお叱り、指摘を受け原因究明、報告、対処、対応、対策について報告をあげました。

原因は新たに設置した戸開走行保護装置の誤作動だったのですが、調整不足からくる着床装置の不備でした。

たった1日の事ですが、最低でも3日間は据付工事後の調整期間は必要だと強く心に刻んだ事例でした。

皆様も無理そうな工程の要望は、業者の反応を見て妥協判断が寛容だと認識してください。

メーカー系保守会社の工期短縮、ハイブリッド工法

メーカー系保守会社の特徴の一つに、リニューアル工事の工程に関してのオプションとして、大幅に工期を短縮したリニューアルメニューがあり、完全停止が3日間といったメーカー仕様があります。一部の限られた独立系しか対応できないのでどうしてもの事情がある場合はメーカー系に問い合わせるのがいいでしょう。

ハイブリッド工法といって、連続した完全停止期間を分散させて、平日は完全停止だが、土日は利用可能、あるいは、日中作業時間は使用不可だが、夜間はりようできるようにする等、この分野についてはメーカー系保守会社の対応力が優れています。

エレベーター工事専門の住民サポートサービスの利用

エレベーターリニューアル工事の増加に伴い、工事期間の住民サポートサービスの会社が新たに設立されています。利用数も堅調で需要は増加傾向です。

新聞配達サービス

ゴミ出し運搬

各階に休憩用椅子の設置

買い物用手荷物の運搬

介添え、杖の設置

別途で契約する必要がありますが、マンション内でどうしても必要な場合は前もって検討手配する事をお勧めします。

業者選定では工事期間中のこういった諸問題についても留意、確認しながら合意形成を図ることが必要ですが、専門的知識、経験がないと簡単ではありません。

エレベーターマネージメント株式会社では、工事管理コンサルティングサービスもオプション契約でとりそろえていますので、話だけでも聞いてみて下さい。

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