ブログ

リニューアル 保守(メンテナンス) 相談事例

エレベーター長期保全部品交換計画表の入手・活用について

2025年11月9日

2025 11 09

POG契約のエレベーター保全計画表の入手、管理について

現在でも数か月単位でエレベーター関係部品の価格上昇が継続しています。個人消費に関する物ならその場で、あるいは数日考えて買う、買わないと判断できるのですが、共有物であり、不特定多数が利用するエレベーター関係となると、特に高額な部品になると数週間、一般的な理事会周期では1,2か月に1回の開催となるとその場で結論、判断できる事は限られるので、数か月の検討期間が必要になるでしょう。

見積提示、説明から数か月の検討を経て発注をしようとしたら、価格が改訂されて金額が変わって増額となる話をよく聞きます。

以前は、半導体関連の電気部品である基板類がその傾向が強かったのですが、最近では鉄やワイヤ―ロープ、樹脂、ゴムなどの加工品についても見積もり時と発注時の価格が変わっている状況も多くなっています。

数か月程度のタイムラグなら、エレベーター会社で価格上昇分は飲み込むでしょうが、半年以上経過してたり、オーダーメイド品の高額部品となると、見積有効期限(30~60日が多い)を理由に再見積もりの検討を要請してくる事があるので注意が必要となります。

そういった背景からか、少し前までは主要な保全部品を特にメーカー系保守会社では自社の規定耐用年数で設置、取替から経過年数毎に計画表の参考資料として一般顧客に提示し、予算検討、確保を検討してもらう営業ツールの一貫として使われていたのですが、ここ最近はほとんど見られなくなりました。

価格の変動が激しく、予算確保の計画に参考となりにくい状況が続いている背景があるからと思われます。

以前では、そういった必要性から営業担当者に向こう、5~10年でいいので中期的な部品交換計画を作成してほしいと要望すれば、あくまで参考として、と釘をさされるものの、各項目で年度毎に交換周期に当てはめた交換計画表を提示して、その年度、年度で計画的に部品を交換していき、突発的に大きな不具合、支出が発生する事もなく、予防保全が実行できていました。

特にPOG契約の場合では、非常に計画的、効率的に保全管理が進行していくので予算管理もしやすく、機器の状況も把握できるので、所有者とエレベーター会社共にストレスもなくコミュニケーションも良好に保てて行けたのではないかと、今思えばですが感じられます。

しかしここ最近の状況では、そういった先を見据えた打ち合わせ、説明もなく、いきなり、“数年後に保守部品が生産終了となるから一式交換のリニューアルの実施検討をしてください。金額は¥10,000,000-以上します。その部品が壊れたら復旧できませんので、それまでにご検討、判断ください。”と所有者に半ば、強制的なイメージで案内が為されると、コミュニケーションどころの話ではなくなってしまいます。

相談事例の多くは、今現在の契約先保守会社のこういった、突然の高額な提案が人間関係と説明が不十分な状態で所有者に投げかけられて、その不満、不信感から既存契約先離れが多いのではないのかと思うのです。

まずは、今まで保守管理をしてきたエレベーターのこれからについて、現状の保全状況と今後の高額部品交換やリニューアル工事までについて、どう考えてくれているのかを、こちらから保守会社に問い合わせてみるのも一つの見方、考え方ではないかと思います。

もしかしたら、思っていた以上に、部品交換の出費検討の時期が早かったりするかもしれません。

そのタイミングをみて、今からリニューアル工事に向けてその間のエレベーターの保全予算周期やその交換部品の選定、検討を依頼する事を要請するきっかけとなるのではないかと思います。

フルメンテナンス契約の部品交換履歴の開示要請について

フルメンテナンス契約の管理組合、賃貸マンションオーナー様はエレベーターの保全管理について具体的にどういった作業内容であったりとか、そもそもエレベーターについて、今後大きな出費がある事さえ考えた事無く、これからも、問題なく使い続けていけるものだといった考え方の方が大半だと思います。

その為に、割高な保守ランニング費用を払っているのだから、そう思われるのも当然の事だと思います。

建物が竣工した新築当時に保守契約を締結し、特に何事もなく20数年が経過して、外壁、屋上防水、給排水設備、LED照明交換等ほぼ同じようなタイミングに、このエレベーター部品供給終了の案内が割り込んできます。

分譲マンションでしっかりした管理会社なら、長期修繕計画に則り、その設置機種エレベーターの部品供給期限の時期をみて、予算を計画にのせて、その予算範囲内で検討していくのですが、賃貸マンションではエレベーター会社から、あるいは管理会社から、数年後にリニューアル工事の実施検討を打診されるので、その届いた見積書を見て驚かれるケースがほとんどではないかと思います。

こちらに寄せられる相談依頼に、“管理会社から、もうすぐにでも潰れそうだから、すぐにエレベーターリニューアル工事をしてくださいと見積もりを持ってきた。とても高額であり、賃貸マンション経営で突発的なここまでの工事予算は急には確保できない。銀行に融資の相談をする事を考えなければなならないが、その前に本当に今工事が必要で妥当な金額なのか?”

が初期段階の相談として一番多いです。

保守会社からは、“保守部品が手に入らなくなるので、これ以上フルメンテナンス契約を継続する事はできません。

部品供給期限までにリニューアル工事を実施してほしい。”といった主張になるのですが、ここで一旦、

それでは、今までどれだけの部品を過去に交換してきたのかを尋ねてみましょう。

点検報告書や、点検以外の日程で部品交換工事を実施していれば、その交換した作業内容が記載されていますので、調べてみるのもよいのかもしれません。

正式な要請としては、“過去〇年に遡る部品交換履歴を出してください。“と要請すれば、きちんと保全履歴をデータ化なりして管理している保守会社ならすぐに表にして出してくれるはずです。

その上で、部品供給期限とその保守会社の供給期限部品の在庫ストック状況を合わせて検討して、リニューアル工事の時期を検証していく事から、スタートしていくのもいい方法ではないかと思います。

部品交換履歴のどんな部品をいつ交換したかについて、一般の方がすぐに見てそれがどのようにリニューアル工事の時期の検討材料になるかは判断、見解が難しいのでやはり専門家の意見を参考にされる事をお薦めします。

過去の長期修繕計画についてのブログ→ https://www.elevator-management.com/blog/elevator-maintenance/312/

過去の修繕履歴、現在の保全状況、今後の修繕計画を一体的に捉える

リニューアル工事の見積検討と、その工事仕様内容、金額、業者がどうなって、いくらで、どこが?からの検討がクローズアップされますが、体系的に過去・現在・未来と一体的にエレベーター保全をとらえて考えていけば、無理無駄の無い必然的な保全管理、リニューアル工事検討方法が見えてきます。

まずは、お気軽にご相談ください。

問合せフォームはこちらからお願いします。