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リニューアル 相談事例

最新のエレベーターリニューアル着工納期情勢

2025年11月3日

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2極化の傾向が固定化しつつあるエレベーター工事着工納期情勢

エレベーターリニューアルの検討で、初期段階の重要ポイントして、まず将来における保全管理についての安全性、そしてコスト、そして実績等からの信頼性や企業イメージからの安心感等、漠然とした観点からの検討からスタートされる方が多いのではと思います。

同時にこの数年前からの資材価格急騰と長期納期問題の深刻化しており、並行して、見積価格と合わせて着工納期時期についての条件提示をこちらから積極的に要請する事をお薦めします。

以前からも当ブログで紹介しているようにリニューアル工事価格の上昇傾向は続いており、しばらくは沈静化する見通し無さそうです。

価格上昇についてはエレベーター保守会社全体的な傾向に見受けられますが、発注、契約からの工事着手までの期間については2極化している傾向が伺えます。

まず、エレベーター業者にリニューアル見積もりを依頼する際は、必ずリニューアル工事後の保守メンテナンス見積と、発注から着工までの期間、着工から工事完了までの工事期間(完全停止のエレベーター利用不可の期間)の依頼を同時にかけます。

この、発注からの着工時期については施工会社、見積依頼の時期、予定、希望の着工時期により大幅に違いがわかれるので注視するのですが、メーカー系と独立系、地域によっても着工可能時期がそのタイミングによって違ってたりと、かなり複雑になってきている状況です。

これから年度末を迎え、そういった傾向がはっきりと見えつつある中で、現在、ご依頼を受けている、受けた事例、実績を基に最新の状況を紹介したいと思います。

メーカー系は1年先、独立系は半年から8,9か月先の着工納期の傾向

現在、どこの業界もそうですが建設業界は特に人手不足が深刻で、その解消に最近では外国人の作業員の方も工事現場で多く見るようになりました。エレベーター業界でもその傾向は少しあるのですが、どうしても作業性から危険を伴う上下作業が多く、言葉の壁が大きいように感じられます。高低差のある昇降路内の作業ではお互いの声掛けがとても重要ですが、発せられた言葉の意味が少しでも違っていたりすると大事故となる可能性がある為、他の業種に比べて時間がかかってしまうと感じられます。

製造過程においての工程期間については、メーカー系も独立系もほぼ変わらないと思われますが、作業人員確保が追いつかないのが着工納期の長期化の原因となっています。

製造納期については、ほぼ半年あれば制御盤、巻上機等の主要機器含め出荷対応が可能ですが、工事要員の計画シフトが数か月~1年先までビッシリ埋まっているのが、各保守会社の状況です。

さらには、働き方改革の市場要請から日曜、祝日作業や、夜間作業敬遠等も大きな影響となり、さらには工事期間中のエレベーター利用不可の間の階段利用から季節のいい春、秋工事に集中する傾向があるので、さらに先伸ばしのシフトに組み込まざる得ない状況となっています。

メーカー系保守会社の傾向

メーカー系保守会社はメインである新設工事にも人員確保が必要なのと、作業性の多いオプション工事があったり、工事規模が比較的に大きい撤去新設、準撤去新設等の一般的な制御リニューアルよりも技術規模、経験レベルが高いことから着工までの人員シフトが1年先以上となってしまうのではないかと推測されます。

同じメーカー系保守会社でも都心部と地方では若干状況が違うケースがあり、ある都心の支社では2年先まで工事が埋まっていて、新規の見積については辞退されたのですが、地方の支店では発注から半年後で着工可能といった事例がありました。

そういった事例とはまた別のケースで、営業戦略上で受注がまだ未確定でも社内的に仮押さえを直近で着工可能時期をして、営業交渉期間中の納期ハンディを最小限に抑えるパターンや、そういった仮押さえした受注が濃厚とみられていた現場が失注してしまった際に、他の検討中見積案件にその着工期間を前倒可能として担当営業に割り当てして提示したりと、今まで1,2年かかると言っていたのに急に半年後に着工できるようになりましたと連絡がきたりする事があったりします。

このように、特にメーカー系では現状厳しい納期対応を限られたキャパシティで四苦八苦して遣り繰りしているようです。

独立系保守会社の傾向

数年前までは、制御リニューアル工事の営業体制もまだ整っていなかった会社でも、これからは点検契約だけの売り上げでは経営が成り立たなくなっている状況からほぼどこの独立系保守会社でも自社でリニューアル工事を元請けするのが一般的となりました。

人材確保の問題も、メーカー系同様に大きな課題となっていますが、保守点検員だった技術員の教育を促進させ工事要員としたり、経験実績のある工事会社の新規開拓等、情勢に合わせた臨機応変の体制改善からようやく安定的に製品の品質も合わせて、リニューアル工事のノウハウの蓄積から作業効率もあがってきています。

こちらは、発注から約6か月から8,9か月には着工可能のケースが多いのですが、全国規模の会社の場合、こちらも都心部、地方の格差があるようです。先のメーカー系とは違って、都心部支社では半年から8か月で対応可能に対して、地方支社では1,2年先といったケースがありました。

社員人員配置、教育体制や業者開拓の進捗の度合いによって格差が発生しているものと推測されます。

その他、複数棟ある団地内のエレベーターリニューアルでは1施工チームで1台ずつの施工で3か月の期間を2施工チームに投入して1.5か月で施工完了計画を提示して管理組合から前向きに検討させたケースもあるので、独立系の中でもその会社規模、見積条件時期、仕様によってかなり幅がある状況となっています。

エレベーターリニューアル着工納期は条件が変化するので最新情報入手が必須

いつ工事が始まって、いつエレベーター利用が出来なくなり、いつ完了して支払いが発生するのか?

工事見積もり金額も重要な検討要素ですが、この着工納期についても同じく大きな判断要素となるので、事細かく時期、期間について各エレベーター会社にヒアリングを重ねる事が必要となっています。

契約時に聞いていた時期が、契約後に工事の詳細現場調査から技術的対応により数か月先延ばしとなり、キャンセル、違約金についてトラブルとなってしまったり等の話も聞きます。

皆さんもどうか適切なタイミングで正確かつ慎重に納期確認する事をお薦めします。

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