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エレベーターリニューアル工事決議の合意形成について

2025年7月21日

2025 07 21

エレベーターリニューアル検討作業で一番大事な事

国交省で一応の目安として示されている12~14年に一度の大規模修繕工事では、管理会社や修繕コンサルタントの設計事務所が管理組合に長期修繕計画書に沿って検討開始について理事会に提案されます。

エレベーターリニューアルについても、管理組合宛てにメーカー系保守会社や現契約保守会社から、あるいは管理会社からも既設置製造会社からの部品供給停止の案内をもって、リニューアル工事の提案がなされている事と思います。

大規模修繕工事と比べてエレベーターリニューアルは早くて20年、通常25~30年でその機種の部品供給期間を終了するケースが多く、管理組合としても、初めての経験となるのがほとんどだと思いますが、一般建築リフォームなどと違い、エレベーターは専門的な要素が多く、世間一般に情報が存在していませんので予備知識がないまま、とりあえずネットで検索して該当したエレベーター会社に問い合わせをかけて数社相見積もりを依頼されます。

依頼されたエレベーター会社は、まずは現地確認、必要書類の閲覧を申し出て数週間後に概算見積、参考見積が管理組合に提出されます。

メーカー系や独立系保守会社でも全国規模の会社から地域密着の中小規模の会社まで、各々の視点で見積仕様を設定するのでだされた見積書も当然、会社ごとに違った様式、項目表示内容だったり、ある会社のみつもりでは数ページにわたり、ぎっしりと見積項目内訳がかかれているものもあれば、合計金額と何人乗り、何台しか記載がない1ページの見積だったり、比較しようにもどこをどう比較しようにもどこの会社はどんな仕様でそもそも、ここのマンションのエレベーターにとってどこまでの何を改修しなければならないのか?がはっきりしていない状態だという事に初めて気付くのです。

まずは、このマンションにとってのエレベーターで取替に必要な部品、仕様は何であるかを確定しなくてはなりません。

最大の必要要因は供給が終了する部品に代わって、今後も安全に保守を継続されるためには必要最低限どこまでの機器、部品を見積対象に加えなければならないかを明確にして、“基本となる仕様”を確定します。その上で、今後を見据えてより高い安全性を求めるのか、現状よりもより高い利便性を求めるのか、なによりもコスト重視で必要最低限の仕様で費用を抑えて、今後のその他の設備工事の為に修繕積立金を確保していくのかを議論します。

その上で、そういった見積の仕様に沿って御社のリニューアル見積を出来るだけ内訳を明確に細かく分かるように出してほしいと依頼します。

合わせて、見積の内容、工事の仕様、どこからどこまでが工事対象になって、どこまでが既存流用なのか、現状で発注から着工までどれくらい納期がかかるのか、とリニューアル工事後のランニングコストである保守見積も現代の契約内容同等仕様と必要であればフルメンテナンス、POGと遠隔リモート点検、遠隔監視、有人点検を毎月から3か月に1回等のバリエーション毎に保守見積も依頼する事が重要になってきます。

理事会、総会決議に向けて合意形成に必要な事

一定の基準での各社の見積が出そろったら各見積項目の仕様の漏れがないかチェックをして比較表を作成します。

その時に必要なのが、エレベーター会社によっては同じ仕様、部品名称を指しているにもかかわらず、呼び名が違ってる事がありますので、その部品箇所の特定、分類分けと合わせて、ある会社の一つの見積項目と別の会社の見積項目では含まれる部品構成が違っていたり、比較する為に項目を分けて内訳金額をヒアリングしても、この仕様は切り離せないセットとなっている等、単純に一律比較とするのは至難の業となります。

周辺仕様の状況や、全体の仕様構成のバランスを考えて比較表に落とし込んでいきます。

そうすると、ある程度同じ内容でも各社の見積金額の違いが鮮明になってきて、メーカー系、独立系 その独立系の中でも仕様によって金額差が明確になり得意な仕様は提案書でもその内容を大きく取り上げて、独自性を訴えていたり、不得手な仕様についてはこちらが基本仕様として要求したものについて、代替仕様提案されたり、故意的に見積に入っていなくて、ヒアリングすると、対応不可なので見積には入れていませんとか、かなり注意を要する事が多々あります。

そういった諸々を細分化、明確化してマンションにとってよりよい仕様内容に最も近くて、管理組合にとって魅力的な金額を提示している会社はどこなのかが見えてきます。

しかし、目に見えて仕様内容も金額も優れている会社が判明しても中には“エレベーターのように安全性が求められる設備について、安ければそれだけでいいわけではない”、“金額は高いが今までの実績と、ブランドイメージによる信用力から一概に金額だけで決めるのはどうか”と感じられる役員様も必ずいらっしゃいますので、そういった意見にも耳を傾けながら、金額や、製品仕様、サービス内容ありきではなくさらに違った見方でどういった考え方、基準で選定検討していくかを改めて議論を深めながら進めていかなくてはなりません。

実はここが一番重要な要素なのではと私は捉えています。

過去にエレベーターの新設営業の経験があるのですが、官公庁の入札による販売と民間デベロッパー、ゼネコン、設計事務所に対して販売する民間営業と大きく2つに分かれていました。

官公庁の入札では、発注部署から決められた仕様書が各業者に配布されその内容に沿った金額を入札します。一番低額記載された札の業者が落札するのに対して、民間物件では設計事務所が図面仕様に見合ったエレベーター仕様で、圧倒的に低額な見積金額でゼネコンに提出しても受注する確率は実は1,2割程度なのです。

そこには、デベロッパーと設計事務所、地主、銀行、テナント先等の過去からの実績、信用、信頼関係からくるあらゆる方面からの意向がからんで

総合的な見地から採用が決定するのです。

新設市場と既設リニューアル市場では全く構成が違うので皆さんにはイメージしにくいかと思いますが、値段と中身だけではすんなり物事は決まらない事が世の中には存在する一つの例として捉えてください。

エレベーターマネージメントでは、専門家といて技術的なアドバイス、サポート、コーディネートはもちろん、ここのマンション管理組合の視点に立って合意形成に向けた取り組みを実践してまいります。

とくに、大規模な団地管理組合様にとっては潜在的な問題についても明確化し取り組んでいきますのでお気軽に相談ください。

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