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リニューアル 保守(メンテナンス) 相談事例

エレベーター保全管理のコンプライアンスについて改めて考える事

2026年4月6日

2026 04 06

特殊な条件下のエレベーター制御リニューアル工事の事例

先日、相談依頼を受けた油圧式エレベーターのリニューアル工事が無事完了しました。先週の月曜に着工して、金曜日の昼過ぎ頃に完了したので実際の工期は4.5日間といったところでしょうか。

今回は小規模な事務所兼社員寮といった建物で1階が倉庫、2、3階は工場、4階が社員寮・住宅でエレベーターも5人乗りの通常のマンションによく設置される9人乗りよりは小さいかごサイズです。

建物構成から使用頻度はそれほど多くなくて主には日中に1階からの荷物を2,3階に運ぶのがメインで仕事終わりに社員さんが寮に帰宅する程度です。部屋数も2,3室で見た感じ空き室もあったように見受けられました。

そういった環境のエレベーターでも不具合が発生して利用できなくなると業務上、生活利用上においても支障をきたすので日常の管理は必要なのですが、30年経過して保守会社から部品供給停止の理由から改修工事の案内を受けます。

もともとエレベーター保守管理はメーカー系保守会社で竣工以来継続していたのですが、不具合も多くなり所有者である社長様もリニューアル工事を検討する考えを持ち始めた矢先、保守会社から“リニューアル工事を弊社では実施できない。リニューアル工事が出来ないので保守も請け負う事ができないので保守契約も解約してほしい。”と申し出を受けられたのでした。

所有者からすると、理不尽極まりないと受け取るのは当然の事だと思いますが、後から調べると30年前の竣工前に建物、エレベーターの竣工検査を受検していない事が社内で発覚して、コンプライアンスの観点からそういった状況下の建物に設置されているエレベーターの大規模な工事は請け負えない、保守契約も継続できないといった判断になったのだろうと推測されます。

こちらの社長様は2代目で30年前の建物竣工時の事等は全く関与されていない、知らない上に先代社長様もすでにお亡くなりになり、当時の事を知っている社員様もいない中、いろいろな事実が発覚し途方にくれながら、ある取引銀行に相談したところ、銀行担当者からあるリフォーム会社社長に相談され、そのリフォーム会社社長私とは長年のお付き合いのある方なので、かなりイレギュラーのある相談内容でしたが、まずはお話を聞き、事情を理解した上で、どうにか今日まで工事も完了し、無事引渡しを迎える事ができたのでした。

中低層の小規模建物住宅に多い違法建物問題

私の過去の経験でも、建物の竣工検査を受けていないエレベーターの保守管理、リニューアル工事についての対応は割と多かったのではないかと思います。全国でも特に関西は違法物件の比率が多いとある行政担当者からも聞いたことがあるくらいで、改まったデータはないものの関西は他府県に比べて、このリニューアル工事を迎える30年前後の建物が特に多いように感じます。

何故なのか分かりませんが、比較的関西の気質としてあまり法律に縛られる事を好まない、自分がお金を出して建てた建物を自分の好きなようにアレンジしたいと考える人の割合が多いのでしょうか。

以前はこうした違法物件に関わる事は、タブーとされてサラリーマン時代ではどのようにして丁重に断ったらよいだろうか?と真剣に悩んでいましたが、ここ最近では管轄行政によっては相談窓口で洗いざらいの相談をする事で処置対応の指示、アドバイスをしてもらえるようになっています。

認識のない過程で違法となる事例

ある宿泊施設設置のエレベーターについて所有者から相談を受けたのですが、先の事例同様に30数年経過し保守部品の供給終了を受けてリニューアル工事の案内をメーカー系保守会社から受けたところ、致し方のない事なので予算の算段をつけて、いざ見積依頼をした際に、建物の竣工後に敷地内の壁を増設した関係で違法建物となっているので、リニューアル工事を請け負う事ができないから保守契約も継続できない。解約してほしい。と一方的に手を引かれどうしたらよいものかといった相談でした。

建物の外側の目隠しの為の壁を増設した時に、変更申請をしなかったからだと思いますが、竣工時の申請図面の状況と現在が違っているので違法となっている状況からだと思われます。そもそもエレベーターとどういった関係があるのか?と考えたところ、油圧エレベーターに関してはメーカー系保守会社のリニューアル提案はロープ式に入れ替える工事となります。

その場合は建物の検査済証とその建築図面を添付してエレベーターの確認申請が必要となるので、おそらくその時点で現状と変更手続きをしていない建物のエレベーター申請はコンプライアンス上問題となるので、このような最終的には保守解約といった申し出となったのでしょう。

どうにもならない事もある事例

こちらも、30数年経過で部品供給終了問題から油圧式をロープ式に入れ替えて最新式のエレベーターにしましょうと営業担当に勧められ、見積依頼をして検討しようとしたら、社内確認したところエレベーター入替工事ができない建物となっているので弊社では請け負うことが出来ません。保守もいついつを以って解約とさせてほしい。とまったく先の事例と同じパターンの話で、私に相談があり事情を聞かせてもらい、状況を整理し管轄行政に相談に行く事にしました。

事前に役所の担当者とは下打ち合わせをして、12条5項変更申請書、委任状、建物図面、昇降機図面、現状の写真数カ所を正副揃えて、本来エレベーター所有者の義務である12条3項の定期検査報告の申請ができるようにするにはどうすればよいかといった相談をしました。

手続は受理されて窓口から各部署へ回付閲覧されるので数週間かかると説明があり、ある時間が経過して連絡があり窓口へ行ったところ、申請却下の結果の説明を受ける事になったのでした。

原因は現状のエレベーター、昇降機図面と建物の図面との不整合によるものとの事でしたが、そもそもそういった事も踏まえて状況を開示して昇降機の保全について所有者の責任義務を今後に向けて確保したいといった目的でしたが、やはり不受理となりました。

管轄行政内の設備部門は受理して、建築部門に回付したところストップがかかったとの内情を設備担当者から聞く事ができましたが、役所内でもまだまだ意見の隔たりがあるようですんなりはいかないようです。

専門性が高く、デリケートな問題は早期に専門家へ相談

その他、いろいろと確認申請、検査済証に関する問題は竣工から遡っての検証となるので一般の方ではとても解決に持っていくのは難しいと思います。相談できる行政もまだまだ一部であり、昇降機と建築の両方についての問題検証に深い専門知識が必要なので、私も建築関係に関する事は建築士事務所へ助けてもらいながら対応を進めています。

問題放置して、もしもの事故が起こってからでは手遅れですので思い立ったらご相談ください。

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