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特注型・特殊型高速エレベーター改修工事検討の向き合い方

2026年3月9日

2026 03 09

特殊仕様のエレベーター保守についてリプレイス事情

過去のブログに取り上げましたが、設置したエレベーターメーカー1社でしか保守メンテナンスが履行できない特殊な事情をかかえたエレベーターが一部存在し、そういったエレベーターの保守管理サービスに問題が発生しても、他社比較検討が出来ないゆえに不満、不信感を抱えてこちらへ相談されるケースが多くなっています。

こういった問題の根本はコミュニケーションが不足している事がほとんどだと感じているのですが、一度良くない印象を所有者、利用者に抱かせてしまうと当事者同士では解消、解決に至る事は難しいのが実情です。

両方の言い分を十分に聞いた上で、依頼者である所有者、管理者の立場に立って満足、納得できるポイントを策定し、その方向性に導いていく事が専門コンサルティングの重要な役目と認識しています。

消費者と供給者の関係では利害が相対関係となるので、特に高額なエレベーターリニューアル工事の見積検討初期段階では意思相違のギャップが鮮明になります。

今まで20数年間何の問題もなく使い続けてきたエレベーターが近い将来部品が無くなるので大掛かりな改修工事を実施する必要がある。その費用は予想を大幅に超える見積金額が提示されれば、ほとんどの方は感情的になるのは当然かと思います。これも日常的にコミュニケーションが取れていればある程度は冷静に状況を整理し、事実を受け止めた上でどう進めればよいだろうかと展開できますが、そこで感情的になり“もうこんな会社とは取引しない。他社に相見積もりを依頼して少しでも安い会社に発注しよう。”ここで、一般的なエレベーターならネット検索で捜索した会社に見積依頼をかけて、見積提示を複数社受け、見積仕様の中身を検証確認しての業者選定となるのですが、いくら検索したエレベーター会社に見積依頼をしても、ある程度のエレベーター基本情報を伝えた途端、辞退されてしまうのが特殊なメーカー、特殊な仕様のエレベーターです。

今回はそういった特注型、特殊型のエレベーターのリニューアル工事に関する事例を紹介します。

特殊型高速エレベーターのリニューアル事例について

1997年竣工、29年経過、40階建てのタワーマンション設置のエレベーターで、速度が分速150m/minが3基あり、そのうちの一台が非常用エレベーターといって、火災時での消火活動に使用できるエレベーターが含まれており、3台すべての主要機器である制御盤内の制御基板、継電器、信号入力基板、駆動ユニット、トランス・リアクトルと巻上機一式が2027年に部品供給が終了する事を受けての相談でした。

竣工以来、メーカー系保守会社のフルメンテナンス契約を継続してきたが、部品供給停止からのリニューアル工事の提案であり、その提示金額が想定をはるかに上回るレベルであったとの事でした。

おそらく、長期修繕計画上で予算想定していた金額を大幅に超過していて、相見積もりも取得できずにこのままこの金額で発注するしかないのか?といった状況でした。

1台が約2億弱といった工事金額であり、一般的な10階建てのエレベーターの約20倍では、大いに驚愕されたのだと思います。

タワーマンションのエレベーターについては相談がここ数年で急増していて、最低でも1台1億以上は、どこのエレベーターメーカーでも聞かれます。こういった高層・高速エレベーターに関してはメーカー系保守会社の独占状態であり、独立系保守会社はどこも進出する事ができていません。

その分岐点となる仕様が、停止解消が15階以上、速度が毎分105m以上の13,15名積載以上のエレベーター仕様ですが、合わせてここまでの高層建物になると必ず非常用エレベーターの設置が義務付けられていますので、非常用エレベーターに必要な一次消防、二次消防運転や管理室にエレベーター専用の監視盤も工事対象となります。

ハイスペックな技術力と一般エレベーターに追加するべき、非常時の特殊な制御機能、昇降路内機器の防水仕様と各エレベーターの動きが建物内で集中して監視できる監視盤の改造接続が求められるので、国内全メ―カーの製品互換性が必要な独立系エレベーター会社の開発が未だに及ばない領域となっています。

施工期間(工事中のエレベーター停止期間)も1台・3~4か月で、期間中に何度かは複数台数同時停止が発生するなど、制約も多く同じエレベーターでも一般的な中低層エレベーターとは品物、代金、工事内容ともに全く別物と認識する必要があります。

特注型・特殊型エレベーター改修工事見積検討の進め方

前述したように、1社独占状態なので大幅な減額交渉は難しいでしょう。最初の段階では、まず提案書ベースで工事の必要性について、基本となるエレベーターの仕様説明、既存不適格についての説明からこの機会に解消工事を推奨する旨、部品供給期限についてと大まかな工事仕様の説明といった内容になります。その内容に沿った仕様での概算見積として金額が記載されるのですが、どんぶり勘定のようなザクっとした金額提示がなされるので、細かい内訳だったり各仕様の内容説明はこの段階ではありません。まずは費用感としてこれぐらい掛かるので部品供給終了までに予算計上してくださいといったメッセージが一番の目的です。

本格的に検討するとこちらが意思表示した段階で、正式見積の提示があるのですが、この正式見積でもそれほど細かい仕様内訳はありません。

基本仕様パッケージとなっているとかで本体基本価格と追加オプション仕様の金額が記載計上されているだけなので、どこまでの工事内容、範囲、取替部品なのかは全く見えないつくりになっています。

もっと細かい内訳を見積に記載してほしいと漠然と要望しても、“会社で決まっているフォーマットなので・・・”と取り合ってもらえません。

“いや、制御盤や巻上機本体一式交換は理解できるが、その他の付属機器の細かい部品についてはどこまで交換対象となっているかが知りたい。現在フルメンテナンス契約をしているのだから、どこまでがフルメンテナンス契約内での部品交換か、どこまでがリニューアル工事対象となって工事対象となっているかによって、金額が変わるはずだから提示してほしい。例えば〇〇はリニューアル工事見積にはいっているのか?それともフルメンテナンス範疇なのか?”・・・・

かなり専門知識を要するのと細かい作業となり、時間と労力がかなり消費されるのですがこういった緻密かつ地道な交渉作業を重ねていくしか現状手はないと思われます。

要は、ザクッとした大風呂敷の中身を全部さらけ出させて、1個1個これは必要なのかどうなのかを問いただしていく事となります。

結果、細かく拾い出した仕様、部品を削除しても金額を算出するのは向こうなので、思うようには減額しないでしょうが、こういった作業を積み重ねて最終的にある程度の減額となった経緯をあとは管理組合理事会、総会で報告出来れば皆さんの合意形成も図りやすいのではないでしょうか?

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