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エレベーターリニューアル工事見積価格高騰化対策と検討

2025年9月7日

2025 09 07

リニューアル見積価格が5,6年前より、2.5~4割の上昇傾向

一般的に、エレベーターメーカーがある機種の部品供給終了の案内を公表するタイミングとして、公表から供給終了期限まで4,5年の期間を設けるのが多いのですが、その間に該当機種の所有者、管理者(管理会社等)に保守契約先に説明訪問、案内し、契約外の顧客には案内レターを送付したりするようです。

所有者からすると、その時点でとりあえずいくらくらいするものなのか、やはり気になるでしょうから、一旦見積依頼をメーカー系保守会社に依頼して、その金額の大きさに驚かれる事が多く、どちらにしても簡単にすぐ実施できるわけもなく、その供給期限間際までに予算確保するように予算計画を立てられるか、その供給期限の時に周りの情勢も考えてその時に考えようとする方、それぞれだと思いますが、その数年前に取得した見積金額は現時点では全く参考、指標にはならなく、むしろその見積金額で予算計画、計上で実施に向けて検討するのは大きなリスクを伴ってしまうのです。

上記同様のケースで、ある分譲マンション管理組合でも5年前に長期修繕計画のロープ式エレベーターリニューアル工事で予算1台、800万円が先日見積依頼すると、1,000万円だったり、違う管理組合の油圧式エレベーターリニューアル工事で、油圧式から油圧式の制御リニューアル工事が6年前、1台750万円が1,100万円だったりと、2~4割強の価格増となっています。

いずれも、大手独立系保守会社のケースですが、メーカー系保守会社に関しても同様に価格上昇率は増加傾向となっています。

予算計画見直しと今後の対策、検討

マンションの長期修繕計画では約5年に1度の見直しをするように国土交通省が推奨しています。そのタイミングでもエレベーターリニューアル工事見積の依頼を現保守会社に対して要求する事をお勧めします。

エレベーターに限らずの話ではありますが、現在あらゆる建築資材、建設作業費、諸経費関係の価格高騰が続いています。

この傾向は今後もしばらくは継続すると思われますので、この状況をある程度、受け入れ管理組合予算運営を軌道修正し、計画的、効率的に進めていくしかありません。

その上で、もう一つ大きな検討要因に着工納期の長期遅延問題があります。

価格高騰の要素にも起因するところがあるのですが、慢性的な工事作業の人員不足が業界全体的で深刻化しています。

エレベーターの保守、工事は他の建築関係、設備関係よりも専門性が高く、現場での上下作業を伴うので危険を伴う作業になります。

先日も、九州地方でエレベーターリニューアル工事の重量物の搬入作業中に事故が発生し、2名の方が亡くなられたと報道がありました。

エレベーター技術職は最低でも5~8年の現場経験を積まないと1人前とはならないと言われています。

エレベーター会社の方の話を聞いても、新規社員の募集をしてもなかなか応募がないと聞きます。特に今の若い方達は現場作業や、休日、定時出勤による勤務時間にこだわりがあり、エレベーターのような夜間含めた24時間365日の体制がある会社は敬遠されがちだと言っていました。

外国人の方にも人材の門戸を開いている会社もいらっしゃいますが、現場作業を見ると、やはり言葉の壁が大きく、現場作業での上下作業で声掛けに支障があるので、より育成に時間がかかるようです。

最新の契約から着工までの納期期間は、早いところで6か月、長くて2年かかるといった状況です。

リニューアル製品部材の製作期間だけを見れば2,3か月でモノは出来上がるのですが、先述の作業人員不足の問題でその何倍もの期間が工事待ちの状態となっているのです。

しかしながら、着工納期に関してはその地域、会社によってバラツキがあり、都心部では受注がより集中しているのか、納期が長い傾向があるのですが、ある地方ではそうでもなく、2,3か月で着工できる会社もあります。これは、全く別の会社ではなく同じ会社の支社、支店で片や、納期2年先で、新規見積も特殊案件であれば辞退しますと断られたのに対し、他社が保守管理している案件でも、見積提示され納期確認すると契約から2,3か月で着工可能との返答。

やはり、その時、その会社、その支社、その支店が抱えているバックオーダーによって大きく違いがあるものといったところでしょうか?

いすれにせよ、アンテナを常に高くして最新の情報を取集する事が重要だと再認識しました。

以上の業界のバックグランドを踏まえながら、消費者としてどう対応していくかについて、エレベーターの部品供給期限からいつにその工事を実施するのが、ベストか?供給期限前に工事を実施するのがベストですが、修繕積立金の大幅予算修正から計画を後ろ倒しにする必要性についての検討協議、他の設備工事、大規模修繕工事の兼ね合い、タイミングや、やはり最新のリニューアル工事見積もりを取得し、現時点での価格を把握し数年後の将来の想定金額による予算金額を割り出す事が必要です。

そのリニューアル見積を依頼する為には、どういった仕様内容で見積もりを依頼するかが必要になりますので、保全に関わる内容、よりグレードアップを図る安全装置について検証、利便性、意匠性についてどこまでを見積もりに含んでいくか、とりあえずの概算見積なので見積依頼先を現保守会社としても、実施時にはどういったエレベーター会社を見積対象とするかによって金額に大きな差異が発生するので、その設定についてもある程度視野に入れた上で検討する事を推奨します。

現実的、具体的な取り組み、進め方について

管理組合運営に関する、特に設備保全に関する事は長期的視野に立っての検討が殆どですので、輪番制で管理組合役員理事が変わってしまう実情では中々、困難ではないかと推察します。

もちろん、フロントの管理会社さんがそういった事の舵取りを担われるのですが、専門性の高い特にエレベーターについては、原契約先のエレベーター会社を理事会で直接説明する機会を作る事はできても、他のエレベーター会社の情勢、今後についての方向性、見積仕様検討、リニューアル時期の検討等詳細な部分については専門的な経験と知識を持ったコンサルタントが適任かと思われます。

狭い視野からではなく、幅広い見解から将来を見据えての意見、助言ができればと思いますので、お気軽にお問い合わせください。

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