
この時期よくある管理組合のエピソード
竣工から20、30年が過ぎた頃に、偶々管理組合役員に輪番で順番が回ってきて、そのメンバーでくじを引いたら、運悪く(?)理事長になってしまった・・・。
年度替わりのこの時期に、このような方々は多いのではないでしょうか?
管理会社フロントの方から、新理事長に向けて“本年度の議題としてエレベーターの更新について上がっています。前期の役員様から持ち越されて今期の役員様で期内に検討、決議まで持っていかなければメーカーからの部品供給の停止より不具合対応に支障が出るのでこちらを最優先でお願いします。”・・・
こういったフレーズを聞かれてすんなり、“はい、分かりました。”と即答できる役員の方はまず、いないでしょう。
エレベーターなんて全くの未知の世界だし、そもそも建築、設備なんて違う業種で働いているし、タダでさえ忙しい中、週末はゆっくり休養したいのに、よく分からない話の会合に時間を取られるなんて、今年はついていない・・・。大多数の役員成りたての方たちが感じておられるピークがちょうど、この時期かな?と思います。
“こっちは素人だし、検討しようにも何から何をどのように始めればいいか、分からないので、管理会社さんにお任せします。予算内に抑えてもらえればいいので適当な会社選んどいてください。今保守契約している会社でいいんじゃないですか?他に変えた方がいろいろ面倒だし、説明したりして大変だから当たり障りのないところでピックアップして進めていってください。”・・・本音として自分の内側から聞こえてくる声はそれに似たような内容だと思います。
管理会社のフロントの方も、役員さんから頼まれればその意向に沿って進めていくしかありませんので、当たり障りのない業者、ほとんどは現契約の保守会社から見積もりを依頼して、日頃保守点検しているのだから、よく現場の状況を把握しているはず、工事の仕様とかもお任せするからとりあえず、概算でいいから見積書を期限内に提出してほしいと見積依頼をかけます。
すると、保守会社の営業担当は、この物件は長年保守契約を継続していて、管理会社からの推薦もあるので、受注角度は高いはずだから、無理に値段を下げる必要はない。保守をしているからといってもどこの部品がいつ壊れるかなんて正確には予知できないし、広い範囲で多めに見繕って見積計上しておこう。工事の仕様もお任せと言っていたから、新製品や、新安全基準で最近リリースされたパッケージがあるから、これも見積に入れておこう。先方がこれはいらないと言ってきたら外したらいいから、とりあえず入れておこう。・・・見積は出来上がったらメールで送信してほしいと言っていたから見積書と簡単な提案書も添付して次の理事会までに送信して、何か分からないこととかあれば、先方から連絡があるだろう・・・。
その後、管理会社が理事会でエレベーター更新の見積を業者から取得しました。
現在保守している業者からなので、問題ないはずです・・・
第3の選択肢としてエレベーター専門のコンサルタント
エレベーターリニューアル工事の相場なんて、今まで想像もしたことがないが、〇〇〇〇万円もするのか?!果たして高いのか?それでも安いほうなのか?簡単には処理できない問題だとここで初めて、責任重大な判断を下す立場になった事の認識が生まれます。
この見積だけでは管理組合として結論は出せないので管理会社からもっとサポートしてもらえませんか?と協力要請をしたとします。
ここからは、管理会社によって対応の方向性が分かれますが、
(ケース1)
もし、他のエレベーター会社からも相見積もりを取ってほしいとのご要望なら、管理組合様から直接やり取りをお願いします。
(ケース2)
分かりました。こちらで付き合いのあるエレベーター業者をピックアップして見積を依頼します。
ここで、もう一つのケース3として
“管理組合で他のエレベーター会社に見積依頼して、進めたいが専門家の意見も踏まえて検討したいから、現場エレベーターの仕様、スペックの分かる情報を提供してほしい。”
(具体的には年に1回、行政に報告提出している、定期検査報告書や、現保守会社発行の保守点検報告書)
を加えていただけないでしょうか?
今から任期をかけてじっくり取り組めば、必要な情報を明確に効率的に協議して管理組合として合意形成に持っていく事ができます。
その為に、専門的で一般ではあまり知られないエレベーター保全、リニューアル工事について詳しく解説しながら理事会協議検討のサポートいたしますので、この機会にぜひお問い合わせください。
この時期によくあるエレベーターに関する質問
つい先日、全国規模のセミナーがあり登壇した際の参加者様からのご質問がありましたので、一答一門で紹介いたします。
〇エレベーターの保守の形態はいくつありますでしょうか?
→フルメンテナンス(部品代含む)とPOGの2つがあります。
〇フルメンテナンス⇒POG、POG⇒フルメンテナンスのそれぞれの変更は可能でしょうか?
→フルメンテナンス⇒POGは可能ですが、POG⇒フルメンテナンスはリニューアル工事後が条件ならOK。それ以外なら難しいと思います。
〇最初POGでスタートして途中で故障が多くなってきたらフルメンテナンスに変更する事は可能でしょうか?
→上記と同じで難しいと思います。
〇エレベーターリニューアル費用の相場は?
→ロープ式中低層マンションなら、700~1,400万円程度。中には500万円の見積の業者も存在する。価格相場は上昇傾向。
〇リニューアルの最低限の範囲は?
→制御盤を中心とした電機品
〇設置されているエレベーターのメーカー以外のメーカーへの依頼もありか?
→メーカー系保守会社は×。独立系保守会社なら〇。
〇建築物定期調査で「既存不適格」の指摘を受けました。このままでよいのでしょうか?指摘内容は「エレベーター扉に遮煙性能がない」です。
→問題ありません。
〇エレベーター保守点検は年何回するのが標準ですか?
→30、40年前では毎月1回が標準でしたが、最近では3か月に1回が多くなっています。
〇エレベーターの油圧式は同じ方式で更新できないか?
→できます。
その他も一答一門ではお答えできない質問が多数寄せられました。すべてのご質問にパーフェクトにお答えするには現地訪問をしてそのエレベーターの周辺環境、利用頻度、保全状況等を確認してご利用者様の生の声を聴く事が大事と認識しています。出来る限り満足、納得してもらえるような説明、回答を心がけていきますので、お問い合わせフォームにご返信よろしくお願いいたします。