
エレベーター騒音の種類は大きく3種類
マンションで大きなトラブルとなりやすい、裁判にまで発展する問題の一つに音に関する事例が過去から数多く存在します。
マンションの品質も相当上がり、遮音性能、低振動の躯体が年度を重ねるたびに施工されているのですが、建築設備から発生する騒音、エレベーター稼働時に発生する音が問題となるケースを30年の業界経験で何度か遭遇しています。
頻繁に起こる事ではありませんが、つい最近リニューアル工事が完了したエレベーターで引き渡し直後から住民からのクレームが上がり、対応についての相談が管理組合、管理会社、エレベーター施工会社からありました。
人間が感じ取る音については、人それぞれによって感じ方が分かれる為、事前察知、予防対策が難しく、施工完了し運用開始、稼働してからでないと対策の立てようがないのですが、大きくは以下の種類に分類されます。
1,エレベーターが昇降する度にレールから構造躯体である梁、柱を伝って居室に伝わり特に深夜の寝室で覚知される。昼間や周りに生活音が蔓延している状況では感じないが、夜中就寝時に不規則なタイミングで低い音質で“ゴー・・・・”音と振動が共鳴しているので、一度気になると眠れなくなると深刻な睡眠不足となり体調不良を訴えられるケースがあります。
2,油圧エレベーターの起動、走行時のモーター音とポンプ作動音、作動油が配管を流れる振動から、エレベーター機械室周辺の居室に騒音発生するケース。油圧エレベーターは新築時から騒音が発生しやすいと想定されているので、機械室内壁前面に吸音材が貼られていますが、油圧ユニットを新しく入れ替えての制御リニューアルで以前の時よりも音が大きくなったと訴えられるケース。油圧ユニットはエレベーター会社によって機器の造り、レイアウト、使われる部品も当然違うのですが、極端に騒音が大きくなるというより、音質が変わる事が大きい要因です。作動油の流量を制御するバルブの大きさ、形状によって高音質になったり、開閉時のバルブ作動音による振動が大きな要因です。 “プシュー・・・”、“キーン”といった今までと違った音質となり、音が大きくなったと感じられるケースとなります。
3,ロープ式エレベーター巻上機のブレーキ作動音と制御盤内信号リレーのスイッチ音が最上階の居室で、エレベーター昇降路側の屋根裏部屋(メゾネットタイプ)の寝室で発生する問題。つい最近に発生し、現在も対策検討中となっていますが、リニューアル工事実施、引き渡し直後に、特定の居室からの訴えなのですが、特に意識しない中でエレベーターかご内、各乗場では感じる事は少ない音で、屋上エレベーター機械室内に立ち入ると、エレベーターが稼働する度の、ブレーキが開放する“バンッ”といった衝撃音とその後に、制御盤からの“タン”とスイッチが接続するときの音が覚知されます。
こちらも、メーカー各社の巻上機構造によりブレーキディスクとブレーキパッドの接触音、リリース時のバネの伸縮音となり製品の設計上の問題から音の大きさはそれぞれ感じ方も含めてマチマチです。
1,エレベーター走行時 構造伝搬音の解決例
以前はそうでもなかったが、ここ最近、特に夜中に時々寝室の押し入れ付近から“ゴー・・・・”と低い音とかすかな振動がしている。
何が原因か分からなかったが、エレベーターが動いている時にその音がしている事を突き止めた。何とかしてほしい。
築10年程度の10階建てマンションの5階居住者の方から管理会社に要望が入ったことを受けて、保守契約先のエレベーター会社に対策の要請がありました。
エレベーターは某大手メーカー製機械室レス型ロープ式で巻上機は1階フロアレベルにあるタイプで、かご内と5階含む各乗場で耳を澄ましても走行時に異音は確認できませんでした。
一旦は、特にエレベーターに異音、異常は見られない旨の報告をしたのですが、その訴えられた居住者はどうしても確認、解決して欲しいとの要望を管理会社に再度要請、専有部の居住者宅の問題となっている寝室に立ち入らせてもらいました。
すると、確かにエレベーターが5階を通過するタイミングで低い振動音のような“ゴー・・・・”といった異音が確認できました。
以前はこのような音は発生しなかった、エレベーターが走行、通過する度に異音が発生する・・・エレベーター会社としてどういった対策ができるのか?現場管轄の技術担当部署と本社技術部門を巻き込んでの対策協議を重ねて、ようやく仮説想定レベルでの原因を特定し、対策作業を計画実施となりました。
結果は、エレベーター昇降路内頂部に付いている滑車のベアリングの劣化により、小さな振動が発生し、その振動がレールに伝わり躯体梁に伝搬し居室まで響いた現象と確定にいたる事ができました。
ベアリングの劣化と言っても安全性、通常利用上においても支障をきたす劣化レベルではなかったのですが、技術員がかご上に乗り手動運転でわずかな振動を感じ取っての解決となりました。
手動運転では通常運転のような定格速度では走行しないので走行時異音を発見する事は難しく、さらになぜ5階のフロアだけそこの居室に響くのか?についても不明のままですが、頂部シーブベアリングを交換する事より走行時異音は無くなり、5階居住者の方と管理会社のフロント担当者も胸を撫でおろされた事でしょう。


3,ギアレス型巻上機のブレーキ作動音による異音(現在進行中)
リニューアル工事が完了引き渡し、その直後に“以前よりエレベーターの音が大きくなった”と居住者から管理会社、エレベーター工事施工会社に通報がありました。最上階のエレベーター機械室に最も近い居室の方からで、リニューアル工事前の時にも音が気になるのでその当時のエレベーター保守会社に要請し、対策を施した経緯があったようで、ロープ式の通常のエレベーターでどういった音が発生するのか?まずは、現地確認に出向いての調査にエレベーター施工会社を伴って確認作業となりました。
1階からエレベーターに乗り込み、最上階まで上昇した際は、確かに上部からは巻上機のブレーキ作動音“バンッ”といった音は確認できましたが、この音が特別に大きいかは感じ方に個人差が左右されるレベルではないかと思いましたが、最上階とエレベーター機械室内では相応の音量が感じ取れました。
①エレベーター施工会社の製品開発、製造部門に要請してブレーキ開放、ブレーキ作動音の騒音減の技術検討
②エレベーター機械室床のロープ穴開口部の堅固かつ吸音率の高い素材による可能な限りの密閉化
③エレベーター機械室内壁に吸音材の施工取付
以上3案について現在、同時検討作業進行中です。
結果は追ってブログ紹介いたします。
今回、2の油圧式エレベーターに関しては紹介しきれませんでしたが、もともと油圧式エレベーターは昔から構造上、騒音に関してはロープ式より発生するものとしてエレベーター機器の周囲に対しての対策が取られているため、それほど多くの騒音問題の相談は少ないのですが、新築時に引き渡して入居者が引越ししてきたすぐにクレームとなった事例が過去にありました。
やはりマンションのような限られた生活スペースの中での騒音問題は大きな問題になりやすい要素を秘めているので現場状況に応じた経験豊富な専門家による対策検討が早期解決の糸口となります。
お困りの方はすぐにでもお問い合わせください。



