
築30から35年のエレベーターリニューアルが旬。20から25年の機械室レス型はほぼメーカー系のみの見積
比較的新しい機種ですが、ある特定メーカー2社のマシンルームレス型エレベーターの部品供給期限が昨年末と今年いっぱいで終了を迎える事になります。対象建物の経過年数が24,5年程度なのでそれほど古くはない印象のエレベーターであり、まだまだ使える印象なのですが、3,4年ほどからメーカーの部品供給終了の案内告知がHPでアップされ、保守契約先、契約外の該当現場の所有者宛に案内告知レターが届き困惑されるお話をよく聞きます。全国的にエレベーターリニューアルが実施される経過年数で一番多いのは30~35年経過のタイミングが多く、屋上階にエレベーター機械室のある機種が大半なのですが、対象台数も多く各エレベーター会社施工人員のキャパシティの問題からも、長い会社で発注後から1,2年町の着工、通常納期で6~8か月待ちなので、優先するべきはやはり経過年数の多い機械室のあるエレベーターをリニューアルしていくべきであり、実際はメーカー系、独立系共に工事の消化が追いついていない状況です。独立系保守会社のリニューアルは消化中の機械室有の機種で工事ストックがいっぱいで、新機種である機械室レス型のエレベーターリニューアルに費やす新型機種の開発をする余力がなく、この1,2年で供給終了を迎える前述2機種のエレベーターリニューアル工事の見積が出せません。
こういった周辺事情から部品供給終了を告知した2社はほぼ独占の市場で期限内にリニューアル工事をしないと、故障しても復旧できない、早急にこの見積書で発注してください(する必要がある等)の営業攻勢を所有者、管理者にかけていっています。
短期決戦の様相なので、十分見積もりについて説明、理解、認識をするための過程も不十分な状態で、定期総会となり、事情もわからない状況で住民が決議すると否決され、理事役員の中で衝撃が走りどうすればよいのか?といった御相談から、今回コンサルティング契約をいただいた事例の紹介をしたいと思います。
審議、説明不足から総会決議でエレベーターリニューアル工事が否決
戸数が25戸、7階建て、エレベーター1台で築22年のマンションですが、昨年5月に総会でエレベーターリニューアル工事の議題が採決され、否決。今後どうするのか?と管理組合役員で問題となりお問い合わせを受けました。
戸数が少ないので、修繕積立金も不足していて数年前に1回目の大規模修繕工事から資金不足となり今回のエレベーターリニューアル工事も融資を想定した検討だったようです。そういった事からも住民の理解を得る事が難しかった要因かもしれませんが、原因はそれだけではなく、情報不足、審議、協議不足が大きかったのではないかと推測します。
現在、エレベーター保守契約は独立系保守会社が10年前から継続していて3か月に1回の有人点検、POG契約(部品代は別途の契約)でした。
エレベーター保守契約は管理組合との直接契約であり、小規模部品交換は管理会社経由で理事会承認により実施していたようです。
そこに設置メーカーの部品供給終了の案内が、管理会社に届いて管理会社主導、仲介でメーカー系保守会社からリニューアル見積が管理組合に提示され、理事会検討されたのですが、従来から理事会が不定期開催であり、定期的、計画的に十分な説明と審議検討する事がなく、総会決議となってしまったのではないかと思われます。
(否決原因1)・・・1社見積での採決
マシンルームレス型の供給終了機種2社なので、簡単には他社に見積依頼をしても見積対応できる保守会社は見つかりません。おそらく何社か問い合わせたのでしょうが、辞退されての1社見積検討となったのでしょうが、工事価格¥10,000,000-となると、それなりにより詳しい事情説明が総会議案書なりに必要だったのではと推測されます。
市場背景、価格の信憑性、部品供給期限による工事の必要性についてもう少し掘り下げての説明、啓蒙活動があればと推測されます。
(否決原因2)・・・現保守会社不在での検討による情報不足
製品機械そのものの設計情報、技術的な知識はメーカー系保守会社が一番高いと言えますが、トータル的な現状機器を一番よく把握しているのは現保守会社である保守点検委託先の独立系保守会社です。リニューアル製品、工事仕様等についてはメーカー系保守会社がPRポイントもしっかり押さえた説明、プレゼンテーションがなされたと思いますが、現状機器の必要、不必要のリニューアル仕様との部品組合せがないままなので数年前に細かい部品交換工事とダブった部品が含まれている、その逆でリニューアル仕様に入っていない部品の現在経年劣化で交換必要な部品がリニューアル工事仕様で含まれていない等過不足のない工事仕様になっていない状況で一方的なプレゼンテーションとなり説得力に欠けた。
(否決原因3)工事後の保守契約金額が増額
現契約が独立系保守会社でリニューアル工事をメーカー系保守会社に発注すると工事後の保守契約はメーカー系保守会社でのセット契約の条件を提示されます。その場合、メーカー系独自の遠隔システムである地震時自動診断、復旧機能であったりと特典のあるオプション仕様が付与されますが、その分従来の独立系保守金額よりか増額となり、安全性、利便性は高まるが保守ランニングコストが増加し、管理費会計を圧迫します。そういった説明があって理解の上で検討ではなく、単純に金額だけ議案書記載を見ての判断となれば、厳しい会計事情であればなおさら、賛成とはされないでしょう。
エレベーターリニューアル工事に向けてのコンサルティング業務展開
今回の課題解決には長期的な取り組みが必要なため、月額定額設定のエレベーター保守管理コンサル業務の契約を管理組合と締結させていただきました。
総会議案書、長期修繕計画書、前回大規模修繕工事内容と工事金額をチェックし、修繕積立金の積み立て状況からリニューアル工事実施の目途、計画を立てます。リニューアル工事見積仕様内容を精査し、管理会社と現保守会社とヒアリングを重ねて、点検報告書の不備指摘事項の確認とその是正項目解消の見積依頼、リニューアル工事見積について対応可能時期とその費用感を聞き出しておおよその概算予算金額の算出。
並行して他の独立系保守会社にリニューアル見積依頼をかけて収集。2社から見積回答を得ましたので具体的な予算計画が可能になったので、近々に理事会を開催、報告して今後の活動方向性を定めていこうと考えています。
エレベータリニューアル工事は金額も大きいですし、業者や工事仕様によって金額差がおおきくなります。工事後の保守契約も重要な要素となります。そして理事役員、区分所有者の方たちの合意形成が何より大変かつ丁寧な取り組みが求められるので専門的知識が必要不可欠となります。



