
機械室レス型ロープ式エレベーターの投入から市場構成経緯
1999、2000年頃、海外で今まで常識だったエレベーター機械室を不要とするマシンルームレス型エレベーターが開発され、国内で研究開発が急ピッチで進み、市場に投入され始めました。従来のエレベーター機械室内にあった制御盤では幅600mm、高さ1800mm、奥行500mm程の個人用のロッカー2個分くらいの大きさだったものが、奥行(厚さ)200~300mmくらいまでコンパクト化され建物内昇降路にすっぽり収まってしまう事ができるなんて、当時の建築業界では非常に大きなインパクトを与えました。
建物の新築設計で最も心血を注ぐのが、エレベーター含む建築設備の設置に必要な最低寸法でいかに無駄なく効率的に共用部にレイアウトできるかでしたので、エレベーター機械室はまさにミリ単位でどこまで縮小できるか設計事務所との打ち合わせの大半を費やしていました。
特にロープ式では最上階や屋上にペントハウスとして設置レイアウトするので北側斜線等の高さ制限問題にも開放されるので、一旦設計を完了していた設計図面を再度やり直して機械室レス型に差し替えしたりして変更手続きをとったりと、かなり大きな需要となって急速に広まっていきました。
そこで、機械室レス型エレベーターの構造による国内メーカーで大きく2種類に分かれる状況が確立されたのですが、昇降路内に収める制御盤と巻上機を上部側か下部側にレイアウトする方式です。
上部にレイアウトするメーカーは海外エレベーター会社との巻上機を専属調達提携で締結し、特許取得したので他のメーカーは下部にレイアウトする方式となりました。
特許の関係上、1社以外はすべて制御盤、巻上機は下部レイアウトとなり
薄型となった制御盤は保守の作業性から最下階、1階床付近高さの昇降路内壁面や、1階乗場三方枠戸袋側に収め、巻上機は最下階床下昇降路ピットの底部床面にアンカー止めされるレイアウトとなりました。
こうして、1メーカーを除き大半のエレベーターが下部レイアウトの巻上機ピット置きとなったのですが、大きな問題が発生・発覚したのが大雨、洪水被害による建物内乗場入口からの雨水浸水被害によるエレベーターピット内機器の水没損傷でした。
外部からあふれ出た大量の雨水が建物内に浸水して建物最下階の床下ピットに堆積していきますので、当然行き場のない雨水によって巻上機、制御盤とも一気に水没して大きなダメージを受け、全損となったのでした。
一度、水にかかった電子機器類、特に基板関係は復旧できませんので全取替となり800~1000万円の復旧費用がかかって、数か月の利用停止となる事例が全国的に発生しました。
これを受け、巻上機をピット床面に置くのではなく最下階・1階フロアレベル位置の高さにレイアウトする方式がとられ、以降は薄型のギアレスモーターによる巻上機が昇降路レールにレイアウトされピットから約1000mm以上の高さにセットされてからこうした大きな水没事故は聞かれなくなりました。
数年前から、上部レイアウトの特許期限がきれ各社上部レイアウトの巻上機、制御盤のエレベーターを開発、販売し新築市場に投入し始めているので、今後は上部レイアウトが国内市場を占有していく事になるでしょう。
築20~25年の初期型機械室レスのリニューアルと油圧式エレベーター入れ替え検討について
現在、2社のメーカーによる機械室レス型エレベーターの部品供給終了の案内がメーカーホームページサイトから公表されています。
いわゆる巻上機下部レイアウト初期型のタイプであるピット床面設置が優先で、薄型モーターフロアレベル設置も対象となっています。
ピット床面設置タイプについては、昨今の異常気象から浸水水害の危険性が高まっているので、巻上機を含む制御盤とセットの制御リニューアル工事を推奨します。おそらくすでにこういったリスク回避からピット水害対策として、外構排水経路対策工事や周辺止水対策、ピット内釜場排水ポンプ設置など対策を講じていらっしゃるかと思いますが、万全とは言えず、根本的な解決策として巻上機の位置を安全な位置に変えて、冠水したらエレベーターのかごを自動的に上部に移動させて停止させる冠水管制運転装置を設置して備える等オプションを付けて検討してください。
油圧式エレベーターを機械室レス型ロープ式に入れ替える、全撤去、準撤去工事に関しても今まで浸水被害や、地下水からの湧き水によるピット内漏水について現状と過去の経緯を調べる事をお勧めします。
油圧式エレベーターのピットにはそれほど重要機器が設置されていません。数センチレベルの水深なら、即 ピット内機器に悪影響を与える事はありませんが、機械室レス型ロープ式エレベーターに入れ替えるならピット環境について、よく現状確認をしてピット底面、壁面に漏水の形跡がないか、あった場合の止水対策工事、防水工事等エレベーターリニューアル工事の前にこういった問題を解決してから検討する事が予算計画上においても重要です。
さらには、すでに入れ替えの見積を受領されているならその新規入替のエレベーターの巻上機は下部なのか上部なのかをエレベーター会社に確認する事をお勧めします。
あらゆるリスクに備え有効な選択肢からベストな選定のお手伝いをします
以前のブログでも紹介したように機械室レス型エレベーターのリニューアル工事見積についても対応可能なエレベーター会社が見つかってきています。
まずはご自身のエレベーターがどういったタイプのエレベーターなのか?屋上に機械室のある従来型の機械室ありのエレベーターか、機械室はないが、ピットに浸水するたびに高額な復旧費用がかかっている初期型の機械室レス型なのか?築20数年だが、部品供給が終了するのでリニューアル工事を検討しなければならないがどこまでの範囲の工事を最低限しなければならないのか?等多くの疑問の中手探りの状況かと思いますが、どんな些細な質問、ご相談でもお問い合わせください。
初回相談は基本無料となっていますのでお気軽にお問合せフォームから送信ください。



