
エレベーターの基本機能と有償付加仕様
リニューアル工事の仕様検討で金額に大きなインパクトがあるのが、戸開走行保護装置、耐震対策工事をどこまでのランクにするか、見栄えに関してかご内の壁3面、かご扉と床、各階乗場三方枠と扉の意匠工事の範囲によって1台当たり数十万円から100万円以上の差異となります。
まずは、この仕様の必要性を検討してから、今回紹介するエレベーターの主に利便性に関する機能的な仕様について細かく確認検証する事を推奨します。各社のリニューアルカタログやプレゼン資料では有償オプションとされていても、見積前にこちらから提示する事により無償扱いにしてもらったり、予想外に現状の使い方から大きな使い勝手向上となる機能があったり、各社の比較検討作業の材料に大きな影響がでたりする事があるので、ぜひ参照してください。
標準仕様(元々本体見積に含まれている仕様、削除して減額できない)
・ドア開閉繰り返し動作
ドアが閉まりきらない時、障害物を除外する為、ドアの開閉を繰り返します。
・各階強制停止動作
かご内犯罪防止のため、目的階までエレベーターを各階に強制的に停止させることができます。
・かご内非常用照明
停電の時、非常用バッテリーを使用してかご内の非常照明を点灯します。
・軽事故最寄り階着床動作
エレベーターが階と階の間で停止した時、エレベーターを動かしても安全上支障ないと判断すると、自動的に最寄り階まで運転しドアを開きます。
・ネクストランディング
ドアが開かないとき、他の階床に走行しドアを開きます。
・満員通過機能
エレベーターが満員の時は途中の乗り場予備登録があっても通過します。
・乗りすぎ防止機能(過負荷検出機能)
かご内の積載量が設定値を上回った際に過負荷を検知して満員を知らせ、ドアを開いたままにします。
・専用運転
乗り場呼びサービスを無効とし、かご呼び釦のみに登録、運転する。
・かご内ファン・かご内照明自動休止(省エネ機能)
所定時間エレベーターが利用されないと自動的にかご内ファンを止め、かご内照明を消灯します。
・ピット冠水時管制運転
エレベーターピットの冠水を検知するとエレベーターを運転休止します。最下階に停止している場合は、避難階で休止します。
・間違いキャンセル機能
かご行先階釦の誤登録取り消し機能。エレベーターが停止中に登録済の行先階ボタンを2回連続して押すことにより、行先呼び登録を取り消す事ができます。間違って行先階ボタンを押した場合の登録階を取り消し、無駄な運転を低減します。
・着床時行先階ボタン点滅
かごが目的階に近づくとそのかいの行先階ボタンが点滅して到着を事前に知らせてくれます。
・乗場側利用者検知機能
乗場側へ向けてセンサーを放射、戸が閉まり始めているときに、エレベーターに乗り込もうとする人を検知すると再び戸が開きます。
・気配りアナウンス
かごの込み具合や利用者の乗り降りの有無、ボタンの操作等により、「お出入り口を少々お開けください」、「満員です。後からお乗りの方はお降りください」などの音声アナウンスが流れます。
・ノイズフィルター
高調波ノイズを抑制します。電話回線やデータ通信線への誘導による雑音や画像の乱れの低減に効果があります。
・ドア反転措置
ドアの開閉途中に物が挟まって異常な力が加わるとドアがを反転させ、敷居の溝に小石やごみが詰まったりしているときには開閉動作を繰り返した異物の排除に努めます。
・強制戸閉動作
一定時間戸閉が妨げられると警報を出して戸閉を促進します。
・いたずら呼び自動キャンセル機能
かご内が無人で行先階が多数押されているとき、その状態を検出しかご呼びを一括キャンセルします。
・気配りピーク運転
利用階や利用時間など、毎日のエレベーター炉用パターンを学習してかご配置を行います。朝の待ち時間短縮などに効果を発揮します。
・ドア過負荷反転装置
ドアの開閉時にドアに加わる力が一定値を超えた場合、ドアを反転させる機能で人や物がドアに挟まれ、または引き込まれた時にドアを反転させます。
・ドア開閉スピード変更
各階ごとにドアの開閉スピードの調整が可能となり、フロアごとにご利用されるお客様のニーズに応えた設定を行うことで、さたに安全性が高まります。
*以上の仕様・機能は各エレベーター会社によって標準設定、有償オプション設定に違いがあります。
具体的な仕様内容については見積依頼先のエレベーター会社にお問い合わせ、ご確認ください。
有償付加仕様:オプション機能(仕様、機能追加で見積計上される)
・暗号操作による特定階サービス切り離し運転
かご室内操作盤のボタン類を暗号操作する事により、特定の階のサービスを切り離すことができます。
*サービスを切り離すとは操作盤の行先階ボタンのうち特定階のボタンの登録ができなくなると共に、特定階の出入口に設けた乗場ボタンによる呼びが登録できなくなることを言います。
特定階サービス切り離し運転
特定階への出入りを制限させたいときに、かご室内操作盤や乗場操作盤出入口側に設けたスイッチを切り替えることにより、特定階へのサービスを切り離すことができます。
・戸開延長ボタン
荷物の搬出入等で乗り降りに時間がかかる場合にドアの開いている時間を延長する事ができます。
*3分間戸開延長の設定にしています。
・火災時管制運転/防火シャッター、防火戸連動管制運転
火災発生時に運転中のかごを避難階に帰着させ乗客を速やかに避難させることを目的とする機能です。
さらに、エレベーター乗場扉前に設置されている防火シャッター又は防火戸が閉じた場合、運転中のかごを避難階に停止させ、万が一第一避難階の防火シャッターが閉じた場合は第二避難階へ運転する事でかご内の閉じ込めを防止します。
・敷居隙間10mm
かご側の敷居と乗場側の敷居の隙間を10mmに短縮します。敷居間の隙間を10mmとすることで車椅子やストレッチャー等の車輪が隙間に挟まる事を防止します。
・シークレット運転
乗場のかご位置表示機の回数表示を消灯した状態で運転し、第3者に行先階が知られるのを防ぎます。
・ホームランディング
基準階を設定しておき、サービスを終えたかごを基準階に自動的に停止させます。
有償設定にはなっていますが、制御基板のプログラミング設定や軽微な部品追加でまかなう機能なので、それほど高額な価格増にはならないと思います。必要がありそう、今までの利用状況でこういった仕様があれば利便性があがると思われるなら、見積依頼時に機能の質問、確認をして見積提示を受ける事をお勧めします。
本来の自分達のエレベーターにとって本当に必要な機能について考える
部品供給期限、修繕積立金予算、発注期限、着工時期と製作納期にばかり目が囚われて、今までエレベーターを使い続けてきて、必要な機能、仕様
とは何なのか?について考えていく順番を正す事のきっかけとなればと思います。こういった細かい仕様の話についてあまりエレベーター会社から説明を受けない現状があるのですが、とにかくコストを下げる事に重点を置いて、本体価格にどういった仕様が備わっていて、不足と思われる仕様はどれで、不必要な仕様がどれだけこの会社には標準仕様として含まれているのか?を正確に洗い出す事により、過不足のない見積内容となり、結果コストダウンが図れるようになるのです。
傾向としてはやはり、標準仕様として備わっている仕様が多いのはやはり、メーカー系保守会社のリニューアル仕様です。オプション機能についても多数ラインナップされ、独自性もあり理解するのにそう簡単ではありません。対して独立系保守会社に関しては、いたってシンプルな仕様構成で現状同等レベルの仕様、一般的な利用状況程度しか標準仕様では含まれていません。価格差が生じているのもこの辺に一端があるのではと思われます。
これから、新年度に向かってエレベーターリニューアルを検討する皆様、私と一緒にバランス感覚のある、無理のない、理にかなったエレベーターリニューアル工事の見積仕様について考えていきましょう。










