
エレベーター保守契約のオプション仕様 遠隔監視、遠隔リモート点検
ここ、十数年で特に住居系マンションのエレベーター保守管理で遠隔監視装置、遠隔点検装置、自動通話装置の設置率はほぼ8~9割に上がっていると思われます。
もはや、24時間稼働の建物には必須となっているエレベーター保守管理における遠隔での監視、点検、リモート操作ですが、エレベーター会社の系列、会社によってその契約仕様内容、サービスに違いがあります。
まず、メーカー系保守会社と独立系保守会社によって大きくその仕様内容、対応範囲が分かれ遠隔監視、遠隔点検(遠隔リモート点検)と地震等の大規模災害時の遠隔での緊急対応の可否にそれぞれ設定がなされています。
エレベーター保守契約の基本となるのは、まずフルメンテナンス契約かPOG契約か その次に技術者の現地派遣による有人点検の周期(毎月/隔月2か月に1回/3か月に1回) そしてそのオプションとしての付加仕様として、遠隔監視装置、遠隔リモート点検、地震対応システムやエレベーターかご内の防犯カメラ等をエレベーター保守点検契約に含めるかを選択判断します。
当然、オプションを追加するとその分、月額の保守料金も増額しますが、
遠隔監視、遠隔リモート、防犯カメラ(点検用カメラ)を付ける事によって、以前の毎月点検が一般的だった有人点検周期を3か月に1回にすることから、月額料金減額となり、エレベーター保守会社も人件費削減や、故障発生時の対応迅速化が図れる事から推奨提案されるので、新築物件はほぼ100%、契約更新やリニューアル工事後の変更契約の機会に採用されるケースが多くなっています。
今回は、そのエレベーター保守契約についてオプション扱いとなる遠隔監視、遠隔リモートについてどういった内容の違いがあって、エレベーター保守会社がそれぞれの独自の監視、点検機能があって、緊急時の対応がなされるのかについて紹介したいと思います。
遠隔監視装置、自動通話装置付きのエレベーター保守契約
オプション設定の選択制となっていますが、ほとんどのマンションのエレベーター保守契約ではスタンダード化されているのがこの遠隔監視装置、自動通話装置です。
遠隔監視装置 監視項目
階間停止検出(閉じ込め故障)・・・フロア間で停止した場合発報
戸開閉不能・・・扉の開閉に何らかの異常がある場合発報
安全検出・・・エレベーター各安全装置に異常がある場合発報
停電検出・・・停電やエレベーターの電源に異常がある場合発報
自動通話装置・・・上記発報時とエレベーターの非常ボタン操作により、かご内インターホンと24時間緊急監視センターのオペレーターがかご内乗客の安否確認等、状況に即した緊急時の緊急派遣を行います。
この装置システムについて、独立系保守会社はほぼ所有しており、どのエレベーター保守会社でも対応は可能となっていますので保守ランニングコストとの兼ね合いを見て、設置推奨いたします。監視装置の普及率もかなり進んでいるので保守会社によっては無償サービスとしているケースもあります。(有償なら1台 追加月額¥5,000-~¥3,000-)
さらに、遠隔診断機能として毎月レポートを発行される会社もあるので見積検討時に確認してみてください。
遠隔、運行管理診断
かご起動回数、扉開閉回数、インターホン通話状態、各階呼び釦状態、ブレーキ動作状態、安全スイッチ動作状態、ファイナルリミット動作状態

遠隔点検(リモート点検)付のエレベーター保守契約
遠隔点検装置は前述の遠隔監視のさらに一歩進化した内容となっています。
文言が似ているので混同されやすいのですが、つい数年前まではこの機能はメーカー系保守会社のみの対応でしたが、大手独立系保守会社中心に数社製品開発により、オプション対応可能としています。
国土交通省もこの遠隔点検を「建築保全業務共通仕様書」の仕様に盛り込む等、推奨しており官公庁建物のエレベーター保守業務入札でも応札条件としているので、平常時含め緊急時においても信頼性の高い管理サービスと言えます。
遠隔点検項目
機械室温度、走行状態、電気接触器動作、安全スイッチ動作、制御機器動作、ブレーキ動作、かご内、乗場操作盤押釦動作、インターホン状態、ドアスイッチ動作、制御盤内温度異常、かご内照明照度異常、かご内照明点灯回数、かご内照明点灯時間、走行距離、走行時間、各階床毎データ(停止回数、戸開閉回数)
以上の項目に先の遠隔監視項目が加わります。
遠隔操作(リモート操作)付のエレベーター保守契約
おそらく、この技術についてはある一部のメーカー系保守会社のみ対応可能の段階と思われますが、かなり安全性は確保できる機能です。
遠隔閉じ込め救出
閉じ込め故障発生時、エレベーターから情報センターに自動通報されオペレーターがインターホンでの直接通話とかご内カメラでエレベーター内の状況を確認し、遠隔操作により乗客を救出。並行して技術者も現場に急行し現地調査と復旧作業を行う。
事例1
乗場の敷居に異物がありドアが開かない
⇒遠隔でドアを揺すり、強制的にドアを開き救出する。
事例2
エレベーター走行時のリレー故障により階間に急停止してしまった。
⇒遠隔で正常のリレーに切替え、最寄階へ走行し救出。
事例3
何らかの異常検出により階間に急停止。
⇒遠隔でエレベーターを再起動し、最寄階へ走行し救出。
地震時エレベーター自動診断復旧装置
地震時管制運転で休止したエレベーターを異常の有無を自動診断して安全性を確認し、問題、支障がなければ自動復旧する。
自動診断項目
メインロープの干渉、釣合い重りの異常、着床装置の異常、走行時の異音有無、リミットスイッチの異常、調速機ロープの異常、制御ケーブルの異常
異常の項目を微速走行、低速走行、通常走行で診断。往復運転を繰り返し戸開閉の診断を経て異常なければ自動診断により復旧、利用可能となる。
大災害時、技術者の現地安全確認作業の復旧までの待ち時間の大幅短縮となる。
管理、修繕費高騰対策をきっかけにエレベーター設備維持管理の見直しを
建築、各種設備の材料費と人件費の高騰を受けて、新年度から管理全般のさらなる検討に向けていろいろ計画される時期かと思いますが、エレベーターの保守管理契約の基本となる定期的な有人点検費用について月額単価は上昇していません。分譲マンションの管理費については更新時に重要事項説明で値上げ要請から徐々に管理費単価上昇しているようですが、賃貸マンションの管理費やエレベーター保守金額について変動はありません。
この数年で独立系保守会社間の価格競争が激化して現状下げ止まりと言った様相なので、オプションとなる遠隔監視、遠隔リモート、その他のエレベーター保守会社独自のサービスを取り入れながら効率的かつ安全性向上につながる保全管理を目指していきましょう。
そのお手伝いとなるエレベーターのあらゆる管理方法、リニューアル工事について最大限の情報提供、業者選定、工事監理等によるコンサルティングサポートを展開していきますので今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。



