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保守(メンテナンス)

メーカー別エレベーターの特徴

2024年3月10日

2024 03 10

国内大手製造会社と言えば、三菱、日立、東芝、日本オーチス、フジテックが5大メーカーであり、国内新設シェア90%を占めています。日本国内で設置される建物やエレベーターに関しても、国土交通省所管の建築基準法により事細かく厳格に基準が定まられておりエレベーターにメーカー独自の製品特徴というのはあまり見出しにくい製品構成となっています。

以前、在籍していた独立系保守会社でメーカー別の故障発生率の統計を取ったところ、やはり大手5社とその他のメーカーでは倍以上の違いがありました。原因が製品なのか、環境なのか、使い勝手なのかあるいは保守技術なのかによって一概には言えませんがあまりメジャーではない製造会社のエレベーターの保守管理は確認、注意が必要です。
大手5社以外の製造会社は国内シェア約10%ですが中小会社合わせたら百社以上はあるのではと思われます。

三菱製エレベーター

資本金  50億円
従業員  13,000名
保守台数 240,000台

国内最大手であり、設置台数シェアは全国NO1です。超高層から低層、大型積載から小型、ホームエレベーターまですべてのラインナップを揃えています。
メーカー系保守会社として三菱電機ビルソリューション株式会社が三菱製エレベーターのメンテナンス、リニューアル工事を事業展開しており、業界リーディングカンパニーとして君臨しています。エレベーター以外のビル管理設備にも進出し、ビルまるごと管理をキャッチフレーズに建物全体設備の総合管理業務を積極展開しています。
私見ですが、製品そのものの品質も国内中最も安定していて故障発生率も低く、部品供給体制も整っているので大きなトラブルにはなりにくい最も管理しやすい製品です。フルメンテナンス契約物件の部品交換も計画的に行われているように伺えますが、保守月額コストは高めです。

1年ほど前から半導体不足より、特に基盤、ユニット関係の値上がりと納期長期化が最も深刻な状況が続いており、数か月間隔で1,2割の増額と300日から500日超の納期は今まで例を見ない提示なので、保守会社から不具合が懸念される基盤関係の保全提案があれば慎重に状況を聞き取って対応を検討しなければなりません。

特徴

  • 国内トップシェア
  • 品質安定
  • メンテコスト高
  • 問い合わせレスポンスがよく管理しやすい
  • 半導体 基板関係納期長期化

日立製エレベーター

資本金  51億円
従業員  8,800名
創立   昭和31年

三菱と並ぶ国内老舗エレベーターメーカーで株式会社日立ビルシステムと株式会社エレケアを系列として日立製のエレベーター保守、改修工事を請け負います。2社使い分けは標準、規格型エレベーターでコストパフォーマンス重視の所有者様むけには株式会社エレケア、多機能、規格外、オーダー型、特殊用途、高層用等のエレベーターや地震時や緊急時の遠隔操作、他項目にわたる遠隔点検等保守サービスの特殊なオプション対応が必要な場合は株式会社日立ビルシステムに管轄を分けているようです。
私見ですが、機械類(巻上機ギアケース、各種ローラー類など)の耐久性は国内中最も高い印象を受けます。理由は同じ年代経過の老朽化した巻上機でも他製品よりも巻上機のシャフト軸からのギアオイル漏れが少ないからです。
部品供給体制も本社一極集中して管理するので問い合わせレスポンスは良好ですが、一部機種に非常時のバッテリー交換見積が高額なケースを聞きます。通常バッテリー交換は5~10万円程度ですが、工賃込みで50万円前後の価格提示を受けるケースがあります。耐用年数は5~8年でランニングコストとして大きな負担額となるのでよく相談を受けますが、バッテリーとセットで管制運転用の基板が内蔵されていてその基盤がコストを押し上げているのが要因でした。かご内の液晶階床表示も耐用年数前後6,7年で映らなくなったりする機種があるので見積提示受ければ出来るだけ早急に予算検討する必要があります。

最近では、ロープ式機械室レス型の部品供給終了を公表し独立系保守会社がまだ機械室レス型のリニューアル対応が確立していない中、先行受注活動を加速させています。

特徴

  • 系列に低価格対応会社を展開
  • 機械構造部品の耐久性高い
  • 一部のバッテリー交換で高額のケースあり
  • 国内メーカーで先駆けてマシンルームレスエレベーターの部品供給終了を公表

東芝製エレベーター

資本金  214億円

スカイツリーや阿倍野ハルカス等著名な建築に数多く設置されており技術力の高さを実績で現しています。最新の標準型マシンルームレスエレベーターでは巻上機と制御盤を最上階位置にレイアウトされ水害で主要機器が水没されないリスクを解消しています。
最近では人員不足からか顧客対応や納期対応に格差が広がっているケースを感じます。
特定した部品の見積依頼をかけてもスムーズに見積が来なかったり、納期回答の問い合わせでも数か月間経っても確認中のままだったり一部の部品ですが散見されます。
リニューアル工事と新設工事についても製作納期が1年以上のケースが多いと聞きます。一昨年に契約書記載の着工から数か月も遅延し、キャンセルになった組合様の話もあるくらいなので特に着工時期について制約あれば慎重に判断しなければなりません。

最近は親会社東芝グループの上場廃止から経営方針が定まらず部品等の製造、サービスの遅延が目立ってきています。新設保守契約の多くを大手独立系保守会社に奪取され昨年、全国展開の某独立系保守会社と業務提携し、保守営業展開の強化を掲げています。新設、保守、リニューアルともに東芝エレベーター株式会社として事業展開しています。

特徴

  • 著名な大型施設に実績が多い
  • マシンルームレスエレベーターの主要機器は最上階(浸水被害に遭いにくい)
  • 人員不足から対応遅延傾向
  • 工事納期遅延傾向

オーチス製エレベーター

資本金  3億円(日本法人のみ)

5社中唯一海外メーカーなのが日本オーチスでアメリカに本拠地を置き、世界で市場展開しており世界シェアはNO1です。国内市場参入時は松下電器と提携し強力な営業基盤によりシェアを伸ばしてきました。現在は提携解消し日本オーチス・エレベーター株式会社として新設、保守、リニューアルを事業展開しています。
エレベーター国内市場で唯一特徴的と言っていいのが日本オーチス社製のリニア式エレベーターとワイヤーロープが鋼線ではなくベルト式のフラットベルトを使用したエレベーターを現在も国内供給しています。ただ、駆動構造が違うのですが皆さん利用者からは見た目や乗り心地といった体感する事はできないのであまりピンと来ないと思います。
他の国内4社は同じ構造なので汎用製作できる共通部品(例えばワイヤーロープ類)があり部品入手ルートの選択肢があるのですが、唯一独自の構成部品となると日本オーチス1社のみしか調達購入できないので金額的にも保全管理面としては確認、注意が必要です。
しかしながら、独自機種以外の通常のロープ式エレベーターでも特に制御関係部品やドアのローラー関係部品等、国内メーカーと比較して割高な価格設定となっています。

2016年に同じく海外メーカーのシンドラー社を事業統合し全国7500台強の同社製エレベーターを引き継ぎ、保守管理を事業継続し、オーチス製リニューアルを促進しています。

特徴

  • 世界シェアはNO1
  • 特殊構造のエレベーター機種
  • 汎用できる部品が少なく、高コスト傾向
  • 対応遅延傾向

フジテック製エレベーター

資本金  125億円
従業員  3135名

先述4社より歴史は一番浅いですが、最近の新設市場で一番シェアを拡大している印象を受けます。最近でもコロナ禍の最中でいち早くタッチレス押釦を開発リリース、テレビコマーシャルでも企業広報活動が活発です。
私見ですが、ある機種によるのでしょうが部品供給終了のサイクルが20年そこそこで公表されるケースが多い印象を受けます。その為、ある製造停止してしまったある階の押釦通信基盤が無いだけで数百万円のリニューアル工事一式をしなければならない場面となって困り果てたオーナー様から問い合わせを受けたケースがあります。
なんとか全国の保守会社をあたって中古部品を所持しているところを見つけ出しましたが、部品供給終了のホームページ更新は注意しておかなければなりません。

20年を迎える機種で押釦の反応が悪く、接触不良より不具合が発生するケースを多く見受けます。基板ごと交換しなければなりませんが供給終了している為、リニューアル工事を検討せざる得ない管理組合様、オーナー様から相談を受けます。応急品の在庫を保持している保守会社にリニューアル工事を内示する条件でリニューアル工事着工までの間、無償貸与でしのぐしか対応策はないので状況確認と予算計画、応急対応品在庫確認のできる保守会社を検討しなければなりません。

特徴

  • 部品供給期間のサイクルが短い
  • 市場に特定の部品が少ないのですぐにリニューアルが必要
  • 最近では新設市場でシェア拡大中

メーカー系保守の特徴 まとめ

保守の考え方、基本思想

予防保全の意識が高く、どのような用途のエレベーターについても例外なく独自の耐用年数周期表をベースに部品の取替提案を基本にしている。

金額の一般的傾向

フルメンテナンス契約、POG契約共に独立系との比較では一般的に高額だったが一部のメーカーでは低価格化してきている。

特殊技術、オプション仕様対応

独自の遠隔点検、リモート監視や地震時の自動診断、復旧システムがある。
15階以上の高層、高速エレベーター保守については独自技術が必要、ゆえに高額。

その他詳細情報については・・・

メーカー新設業界、既設保守業界と独立系保守業界に約30年在籍していたからこそ、業界構造、背景から技術的、営業的な顧客、現場対応の経験実績は何よりも皆様の質問箱、駆け込み寺ととしてご利用いただいています。
エレベーターに特化したコンサルタントだからできるサポート力・提案力で、あなたのお悩みを解決いたします!

どのエレベーター保守会社を選べば良いかわからなかったりエレベーターのリニューアルの工事会社を探しいるなどありましたら、専門のコンサルタントへお気軽にご相談ください。
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