
マンション管理 インフレの波
中古賃貸マンションの家賃、管理費は値上げといった話はあまり聞かれません。エレベーターの部品代やリニューアル工事金額等、材料代を伴う費用については値上がりしている感じはしますが、月額の保守メンテナンス費用の値上げは一部を除いてほとんど聞かれません。そういった中で分譲マンションの管理業務委託費の値上げについては2,3年の間に2,3割アップしたといった話を聞くようになりました。管理人さんの人件費が多くを占めている様です。
管理人さんの人材不足も深刻で勤務時間が週の何日間、時間帯によっては
募集をかけても何か月も応募がない状態が続き、よくフロントの方が掛け持ちされているのを見かけます。ただでさえ、普段から激務に追い打ちをかけた環境に旗から見て、相当な危機感を感じる事があります。
大手デベロッパー系の管理会社はそれこそ、選別管理と言わんばかり、委託費が安い、注文が多い、管理組合独自で業者と発注、契約する等ある一定の線を越えたマンションの管理委託契約を打ち切る動きも、もはや一般化して、立場関係が逆転している様相も見られます。
管理組合としても、その流れを受けて管理費、修繕積立金を従来から見直し、増額改定しなければ会計が立ち行かなくなります。
そこでよくお問い合わせをうけるのが、エレベーターの毎月の保守費用です。管理会社の管理業務にエレベーター保守も組み込まれている場合も組合と直接契約をして中間マージンカットし、さらに保守会社も変更するにはどうすればいいのか?といった相談内容になります。
シナリオ的に上手くいけば減額カットできる要素は確かにあるのですが、よくよく注意、クリアーしなくてはならない事が何点かあるので、ご紹介したいと思います。
エレベーター保守契約先を変えてコストを下げたいが?
今期から、管理委託費が値上げとなったが管理費は従来のままなので、管理費値上げを検討実施しなければならない。しかし、築後20年を経過しもう何年後かに大規模修繕工事が長期修繕計画上で計画されている。大規模修繕工事後は修繕積立金が一気に不足になるので、修繕積立金も値上げしなければならない。さらにはエレベーターもあと5~10年後にはおそらく部品供給終了となり、リニューアル工事を実施しなくてはならない、さらに、給排水設備や集合インターホンも・・・と20~25年の築年数マンションはあらゆる共用部の修繕工事を実施していかなくてはならず、過去の長期修繕計画書通りの予算では全く足りない状況となる管理組合が大多数となっています。これから4,5月にかけて総会シーズンとなり管理費や修繕積立金の値上げや、さらに今年は区分所有法の大幅改正があり、管理規約の変更、改訂も必要となってきます。
今期、来期の理事役員の方は難題が多い期中を少しでも何かしら、マンション管理全般的にメリットを見いだせる項目で議事、議決を進行していかなくてはなりません。その中で一番よく取り上げられるのがエレベーター保守費用の様です。建物竣工依頼、メーカー系保守会社でずっと同じ条件で自動更新契約をしてきて、ここで何とかコストカットできないものか?といった考えに行きつくのですが、一旦立ち止まって状況を整理してほしいので以下について確認ください。
- 現契約先は管理会社か、エレベーター会社との直接契約か?
- エレベーター保守契約の契約形態はフルメンテナンス契約か、POG契約か。
- フルメンテナンス契約の場合、築年数と現契約先はメーカー系保守会社か、独立系保守会社か。
- 20年以上の築年数の場合、製造会社から部品供給終了のアナウンスが告知されている機種があります。その機種に該当していないか。
この4つの項目の回答によって、それぞれも手順、問い合わせ先、問い合わせの仕方、準備するべき資料として調査、あるいは取り寄せなければならない等、複数のバリエーションを組み合わせて情報を収集する事になります。おそらく、その内の一つでも当てはまらなかったり、欠けていれば頓挫といった結果にもなってしまいますので、この4項目についてまずは調べた上で、一度ご相談ください。
フルメンテナンス契約とPOG契約はどちらが得か?
この質問は本当によく聞かれますが、これに関しては一概に答えられないのが正味な回答なのです。
明確な事は、
- 利用頻度が高いエレベーターはフルメンテナンス契約がよい。
- 賃貸物件で将来転売を考えているならPOG契約がよい。
- エレベーター管理費、修繕費は一定の年間予算で運用したいならフルメンテナンス契約がよい。(官公庁に多い)
- 理事会開催が不定期で、召集しても集まらない管理組合ならフルメンテナンス契約がよい。
- 竣工から20年以上、フルメンテナンス契約を継続してきたなら、リニューアル工事まではそのままの条件でフルメンテナンス契約継続がよい。
以上の傾向から、必然的に分譲マンションではフルメンテナンス契約が多い、民間賃貸マンションはPOGが多い市場構成となっています。
今、一番保全管理費のコストカットで問い合わせが多いのが築15~20年の分譲マンションですが、まず5の回答通りに現状維持をお勧めします。その理由についてですがエレベーター独特のフルメンテナンス契約形態の本来の目的にあります。最近は自動車ではリース契約が多く、メンテナンスパックとしてオイル交換、タイヤ交換、ワイパー、冷却水、半年に1度の点検と、ガソリン代と任意保険以外すべてが月額のリース料金に組み込まれています。エレベーターのフルメンテナンス契約はイメージとしての感じは自動車のメンテナンスパックと同じですが、少し違う面があるのです。
新築引き渡し時しばらくして保守契約を締結しますが、そこでフルメンテナンス契約を選択すると、POGに比べ料金は割高だが部品代も含んでいるので安心感があるといった価値観を持たれます。但し、新築引き渡し時から5~8年程は交換する部品はほとんど(全くと言っていいくらい)ありません。それからは細々と緊急用のバッテリー、ギアードの巻上機ならマシンオイル交換程度で10年経過したころにロープ交換が実施される時期になります。それからはドア関係のスイッチ、ローラー、ベルト、ワイヤー、シューが交換時期となり15年から20年に差し掛かる頃に制御盤内の基板、操作盤の基板、制御用インバーター等いわゆる大物部品の交換が計画されます。もちろん、こういった保全計画は保守会社によって大きく違ってきますが、15年経過してからが高額部品の交換時期に入るのです。
要するに15年、20年かけて毎月積み立ててきた保守料金をこの時期に契約履行する考えとなります。
従って、フルメンテナンス契約を新築時から継続した15年、20年経過のエレベーターをそこで、コストカットの理由で他社保守会社に切替える、あるいはPOGに変更するとその部品交換の権利を放棄してしまう事になるのです。新規契約切替の問い合わせを受けた保守会社も当然、そのような条件では見積を出す事はしないのでリプレイス検討作業は頓挫してしまいます。
保守契約リプレイスは状況整理してまずはご相談ください。
“15年経過したエレベーターのフルメンテナンス契約はお受けする事ができないです。”一般的な独立系保守会社の基本的な営業方針ですが、現地エレベーターの状態によっては対応可能の場合があったり、機器の状態がよく、利用状況、周辺環境その他好条件が重なっていたりすると見積提示の可能性があります。
その状況を証明するのに、現保守会社から定期的に部品交換履歴を取得しておくのが得策です。(急に要求すると警戒されます)
リニューアル以外でもあらゆるエレベーターのお困り事の相談を承っていきますのでお気軽に問合わせフォームにメール送信ください。



