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故障・修理

エレベーター不具合事例 トラブルシューティング②

2024年8月25日

2024 08 25

事後保全となった不具合発生によるトラブル事例(その1)

築50数年、現在は民泊専用の賃貸マンションで6階建て、1フロア1室で1階はピロティ駐車場の5戸の小規模マンションですが、ここ数か月のインバウンド市況の影響から外国人利用者が後を絶たず約半年先まで予約が埋まるほどの状況でした。

当然の事ながら、とっくに主要な機器の部品は生産終了しており汎用品(一部汎用の利く制御リレー、バッテリー、ロープ、各種ローラー)で何とか保守を継続していましたが、突然の停止故障となり外国人宿泊者は大きなスーツケースを階段で担いでチェックインせざる得ない状況。

宿泊される外国人の方々は致し方ないと特に不満を感じてはいない様子でしたが、運営会社と所有兼管理会社の方々はパニックです。

なんとか、リレーの接点清掃と位置調整でさほど時間もかからずに復旧できたのですが、もういつ今度止まっても不思議ではありません。

すでに数年前からリニューアル工事の見積提案は保守会社から受けていたのですが、コロナ禍ではとても検討する見通しすらなかったので、予算化もされていません。

運営会社側からもエレベーターが使用できない状況だと外国人旅行者を受け入れる事ができない、半年先までの予約済み客に対して違約金発生のリスクが問題となったのです。

もう、すぐにでもリニューアル工事を実施するしか道はありません。じっくり他社から相見積もり、必要な仕様やじっくりと値段交渉している時間は到底ないので、数年前に提示された見積金額での発注となり、保守会社からはここ最近の値段上昇を勘案して前回見積金額と同額でも実質は値引きとなっていると説明され、了承したとの事です。

しかしながら、発注から大至急材料手配、人員確保でも半年間は必要なので、着工までの半年間は神様に祈る気持ちだったと話されていました。

原因が特定できない不具合故障の事例(その2)

電気関係、特に耐用年数を超えた基板関係の故障で、通報時の症状が現場に駆け付けたら正常になって動いている状況はごく稀にあります。

問題なのは、原因を探ろうにも正常なので原因の特定が非常に難しい点です。

一般的に、どのような故障でもその症状があって、その状況からいろいろな原因の可能性、部位を辿って絞り込んで特定させるのですが、まずそれができないのですから、しばらく稼働させて再発した瞬間を現行犯で抑えるしかないのです。通常1~2時間は稼働状況を見ますが再現しなければ、複数個所の可能性が考えられる箇所を手直し、確認して引き上げる事になります。

今回の事例も、過去約1年間、数回同様の事象で処置を繰り返していましたが、ついに不動産会社の賃貸営業担当者が賃貸希望者に現地案内中に一時閉じ込め故障となり、大問題となりました。

やはり、駆け付けた時には正常運転であり、複数の基板の不具合の可能性までは推定できるのですが、もうこれ以上の時間的猶予はありません。

可能性のある3種類の基板すべて交換を決断され、部品代は百数十万以上との事でした。しかも、半導体納期遅延の為、発注から納品まで450日必要の基板だったので、それまで何とか持ちこたえるよう祈るほかないでしょう。

供給終了部品の故障、メーカーにも中古市場にもない事例(その3)

3例目も基板関係の不具合で、ある時に扉が開閉を繰り返したり、乗場からの呼びに応じない症状と通報されるのですが、技術員が現地到着時には正常となっている事例です。

(その2)と違うのは、築30年程で2年程前にメーカーから部品の製造が終了し、過去数回に渡ってリニューアルの見積提案を受けていたのですが、それまではこれといった不具合は無かった為、具体的な検討はされていなかったのでしょう。

今回は約2時間、運転状況を確認していたら、再現され乗場の基板が不具合原因の特定とされました。

しかしながら、その乗場基板が生産終了基板の対象となっていて、会社にも在庫は無く、メーカーにも当然無いとの返答。あらゆる伝手を使って捜索しても全国的に無い種類の基板でリニューアル工事しか解決策はありません。

当該現場のエレベーターはセキュリティー上、稼働しなければ問題となる建物構造となっており、賃貸先からも所有者に向けてかなりリニューアル工事の早期実施要請をされた様子ですが、保守会社との金額の折り合いが難しく故障発生から2週間が経過しても膠着状態が続いているとのお話を伺いました。

エレベーター管理は予防保全が基本であり、必須

今回紹介の3事例はすべて、事象発生後の工事、部品発注であり、計画外の予算出費、検討時間もなく提示された見積を値引き条件交渉もなく受け入れざるえない状況となっている点です。

(その2)の事例は保守契約先からのある基板交換なので相見積もり等の交渉は無理としても、その他の事例ではおそらく、計画を立てて相見積もりを取り、じっくり検証、検討すればいい効率的良質な提案が出されて金額交渉も有利に進めることが出来たかもしれません。

不具合が発生してからの見積依頼、金額交渉はあまりにリスクが高く利用者に悪い印象を与える事となるのです。

納期遅延問題や、材料、人権費高騰等のコスト管理からも先を見越した専門家からの助言、アドバイスによる管理計画を一度相談されてみてはいかがでしょうか?


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