
あらゆるエレベーター管理に関するお困りごと、問題を抱えている方々へ
弊社の主な事業としては、部品供給停止を迎えるエレベーターリニューアル工事の業者選定、その後の工事監理コンサルティング業務になるのですが、エレベーターに関するあらゆるお困り事、相談事もすべてお聞かせいただいた上で、その対処法や進め方、場合によっては現地調査に赴いてのヒアリング等、その上でベストなアドバイスや提案を心がけていますので、今までどんなお悩みや相談事もその時、その場で対応不可や無理ですとお断りをした事はありません。ご要望に応えられたかはそのすべてを追跡してお聞きしたわけではないので、はたして?な事もあるのでしょうが、これに関しては私のポリシーであり、自慢したい事柄です。(ほとんど自己満足)
そういった事なので、エレベーターに関するいろいろな問題を抱えている所有者様、管理者様とのアドバイザー契約が最近多くなってきました。
今回はその中で、エレベーターの日常使用での不具合トラブルで特に深刻な問題に直面した事例を紹介します。
リニューアル工事後の初期トラブル事例
築25年、14か所停止、戸数13戸 自主管理の管理組合様でのトラブル事例になります。
竣工当社からの自主管理で、1階は共用玄関、駐車場の1フロア―に1戸のいわゆるペンシル型のマンションです。このタイプの建物のエレベーターは最もコストパフォーマンスが低く、保守管理費、リニューアル工事における1戸当たりの負担金額が高いのが特徴です。
数年前から、メーカー系保守会社から独立系保守会社に保守契約を変えて、同機種の部品供給期限が切れた為、エレベーターリニューアル工事実施を決断され、既契約先の保守会社でリニューアル工事を発注、工事完了となりました。
完了引き渡し後の2か月後に、6階でエレベーターが停止したままで動かなくなる不具合発生し、エレベーター会社の緊急コールセンターに通報、即現地作業対応となりました。
原因究明と復旧作業に3時間30分程要しましたが、通常復旧し、故障原因報告をエレベーター保守会社が管理組合理事長にしたところ、数時間前の突発的な雨が乗場ドアスイッチにかかって、接触不良を起こし停止したとの事。
乗場ドアスイッチ周辺すべてを拭き取り清掃し、スイッチ通電部位置調整等も行い試運転し、問題解決したと現地報告がありました。
リニューアルして新品なのに、なぜ故障するのか?と理事長も首をかしげておられましたが、駆け付けて3時間30分ほどで復旧し、住民様には大きな影響は出なかったので対応終了となりました。
後になっての話ですが、この時の報告内容についてはいくつか疑問点が生じています。突発的な雨が乗場のスイッチに入り込んでスイッチ接触面の不良となったのが原因と報告しているが、その降雨は数時間前には止んで不具合発生時には晴れ間も見えているのになぜ、数時間後に接触不良となるのか?その時はまだ重大なトラブルとなるとは予想していなかったので、深く追求することは誰もされなかったのですが、その2週間後にまたもや停止故障が発生しました。
技術員が現場到着から5時間を費やして原因を特定し、電気系のメイン基板の不具合との報告があったのですが、基板の在庫持ち合わせがなく、原因判明時にはすでに夜中の時間帯の為、工場からの出荷配送を待っての作業となりました。
結局、翌日の夕刻に基板類が現地到着し作業開始、1時間ほどで完了。ようやく復旧となりました。
日を跨いでの長時間停止故障となったので、マンション全体の大きな問題となり、なぜ、工事完了から2か月の新品のエレベーターが2回も故障するのか?明確な原因とそれに対する確たる対策を講じる必要があるのは明白でしたので、エレベーター会社に対して正式な原因報告書と恒久的な対策計画書の提出を管理組合様の代理として求める事としました。
数回に渡る、報告内容のヒアリング、質疑応答、確証のある物的資料の提示等経て、まずはエレベーター機器全体の総合点検の実施を計画し、調査点検項目についても作業内容とその調査報告について事細かに指示、指摘を加えさらに、2日間に渡っての総合点検を実施を依頼指示しました。
その間にも以前、不具合故障原因の基板について生産工場による詳細調査を実施させ、総合点検結果報告と合わせて今回の一連の報告書を受領となりました。
理解、納得できない報告書に対しての向き合い方
今までの私の経験からなら、これだけ調査作業内容、報告内容、方法、付随資料添付指示であれば、なんらかの明確で根本的な原因が判明し、その原因を完全に対策をした上で、さらなる2重、3重の予防作業を定期点検で実施する方向性を見いだせれば、ほぼ完全に再発は予防できて、住民様も安心して利用してもらえるだろうと考えていましたが、実際は不十分な内容であり、根本的な原因究明に至っていないと感じる内容の報告書でした。
やはり、その後も2回の原因不明停止故障が発生し、その度に部品を交換して復旧はしたものの、その場しのぎの対策でしかないのではと感じたので、そのエレベーター会社の経営責任者に状況を伝えた上で、面談し会社を挙げての原因究明を早急に取り掛かるように要請する事にしました。
結果、その数週間後にエレベーター制御に関わる電気信号、電気容量、電圧にいたる細部まで状態の記録データを一定期間蓄積させるハイコーダー機器を制御盤に取り付けて電流の波形を24時間、数週間観察してそのデータを解析し、ようやく本来の原因が特定する事ができました。
処置対策後からは、全く不具合は発生する事なく通常利用されていますが、ここまでの経緯内容については結果含めてかなり専門的であり、一般の方には、到底理解する事は難しいのですが、言葉を置き換え、できるだけ平易かつ簡潔な説明報告書を作成するように編集指示し、臨時理事会での説明、解説の場で理事の皆様に安心、納得いただけました。
不具合に対して、積極的かつ理論的、効率的な報告、提案を導き出す
ここまでのトラブル事例はあまりないと思いますが、連続故障となると、利用者側、保守会社側ともに大きな負の感情ギャップが生じます。
当然、利用者側は感情的になり、エレベーター会社に大きな不満をぶつけるでしょう。エレベーター会社も原因がはっきりしない内は多くを語ろうとはしません。しかしながらエレベーターは日々利用しなければならないので、早急に根本的な対策が必要です。今回は原因究明に調査期間含めて、1か月ほど要したので、その間は毎日現地エレベーターを定期巡回してもらいました。何か不具合が発生しても即対応できるように依頼指示したのですが、人員不足の中なんとかやりくりして、会社を挙げての対応だったと思います。
当事者同士ではお互いの主張、感情があり知識、経験の差から拗れてしまう事も専門的見解から両者から合意点を見つける事も保全管理の業務では重要な業務内容ではないでしょうか・・・。



