
大規模修繕工事2回目とエレベーターリニューアル工事
分譲マンションでは、建物建物外壁、屋上防水、共用部内壁、各バルコニー等約12年周期で大規模修繕工事を実施計画するのが一般的です。これは国土交通省の長期修繕計画ガイドラインに則って管理会社が管理組合に啓蒙、検討を促してその周期ごとに予算を組み込み、その他の修繕工事や設備工事と組み合わせて、年度ごとに予算化し計画表に落とし込んで、その計画に沿って管理を進めていくのですが、そのちょうど2回目となる24~28年目の大規模修繕工事該当時期と、エレベーター更新時期が被っていて、この二つの工事の配置についてどちらを先に実施するか?この時期的に接近した二つの大きな工事を実施して以降の修繕積立金の徴収に問題がないのか?その他の将来的なその他の設備工事に積立金不足とならないか?そうなる前にどの時点でいくらくらいの修繕積立金の値上げをどのように計画するべきなのか・・・?特に物価上昇が著しいこの時期に20年先30年先の工事金額の予想といっても以前の様に概算見積が出しにくい状況が続いているので簡単にはいかないのが実情です。
そこで、一般的なのはマンションの大規模修繕工事を扱う設計事務所に依頼して、作成された長期修繕計画書について理事会で説明、報告してもらい予算管理の方向性、審議検討事項の明確化を図ってその計画に沿って修繕を実行していく流れとなります。昨今の物価変動が著しい状況を受けて、5年に1度の計画書の見直しも重要です。
この度、株式会社 都市景観総合計画さんと協業する事となりエレベーターリニューアル工事、大規模修繕工事、その他の設備更新工事について、より計画誤差の少ない、適切で明確な長期修繕計画からエレベーターリニューアル工事の検討に役立てる事が可能となりました。
大規模修繕工事コンサルタントとエレベーターコンサルタントとの協業
都市景観総合計画さんは大規模修繕工事にかかわる、劣化診断調査、修繕設計、施工者選定補助、工事監理から長期修繕計画書作成、特殊建築物調査業務までマンションの修繕に関わる広範囲なコンサルティングを専門にされている1級建築士事務所です。
現在、某マンションの新規にエレベーター増設工事について技術的検討を協同で進めています。エレベーター単体の知識経験では解決できない問題も、これからマンション建物トータルに問題解決に取り組める事となりました。
大規模修繕工事・エレベーターリニューアル工事 実施時期の相対比較
まず、12,3年間に実施した1回目の大規模修繕工事の内容、工事範囲の確認とこの大規模修繕工事で修繕コンサル会社に工事監理を依頼されていれば工事完了後に長期修繕計画書も作成している可能性が高く、その後に計画書の見直しを実施されていれば、現状把握が簡単にできるはずです。
当時の計画書には概算で大雑把に〇年にエレベーター更新予算額〇〇〇〇万円と記載されているので、現時点でエレベーターの保全状況と該当のエレベーター機種から、設置製造会社ホームページの“部品供給終了の案内“に掲載されているか、掲載されていれば何年にどの部品が供給終了となり、現保守委託会社はその部品をどの程度の在庫を確保していて、その状況からいつくらいにはリニューアル工事の実施が必要なのか?がある程度見えてくるかと思います。
気の利いたエレベーター保守会社なら、参考に概算でもリニューアル工事の見積を出してくれるかもしれませんし、その提案された見積仕様と見積金額についての説明を聞けば、大体エレベーターリニューアル工事の時期と予算は見えてくるはずです。
逆に設置製造会社から部品供給終了の案内に該当していない、まだ終了の告知がない機種であれば、まだしばらく、少なくても4,5年先まで先送りが可能であると判断できます。
現在まで部品供給終了の案内が公表されていない機種は、まだ比較的新しい20年そこそこの機械室のないロープ式エレベーターであり、メーカー系保守会社であれば見積依頼をしても“まだ、この機種について見積は出せません”と返答されます。独立系にしても機械室なしロープ式エレベーターのリニューアル見積対応が追い付いていない状況です。
特にメーカーによっては、昇降路内の制御盤、巻上機が最下部(床下地下ピット部)か最上部(最上階天井部)にあるタイプに分かれているので、独立系保守会社にとってはそれぞれのタイプに対応できるリニューアル仕様の開発が必要となっています。特に巻上機の交換を伴う場合は複雑なローピング(ロープエンド~カウンター、昇降路内返し車、かご返し車)からの荷重計算、巻上機の大きさ、位置関係、制御盤の位置関係、それぞれの昇降路内収まり等、かなりの開発検討事項のクリアが必要とされます。
数社の独立系保守会社が制御盤、巻上機最下部レイアウトのマシンルームレス型エレベーターのリニューアル見積対応が可能の様ですが、見積提出には長時間の現場調査(エレベーター停止を伴う1日終日)が必要であり、その調査員の人員確保も難しく、依頼してから数か月が必要で会ったり、見積に調査費用を要求されるケースもある様です。
いずれにしても、製造会社ホームページの部品供給終了の告知が重要な判断材料となるので、ご自身が管理するエレベーターが、どこのメーカーで何年に製造された、何という機種名かを把握する事が第一歩となるので、管理会社か保守契約先のエレベーター会社に問い合わせるか、将来的にリニューアルに向けてコンサルティングを前向きにご検討されるなら弊社まで一度、相談、お問い合わせください。