
受け身から攻めの姿勢でエレベーターリニューアル見積金額折衝に臨もう
皆さんは自分の欲しいものが高価なものであればあるほど、入念にその商品について内容や金額、評判をネットの口コミ等を通じて調べ、いざ購入段階では、商品カタログを取り寄せてその商品の特徴や好みのオプション仕様はどういったものがあって、総額いくらくらいになるだろうかと、趣味趣向性が強いものであればあるほど、セールスマンよりも詳しいくらいに商品知識を蓄えて折衝に臨まれます。
明らかに“攻め”の購買折衝と言えるでしょう。
では、エレベーターリニューアル工事に置き換えるとどうでしょうか。
きっかけは、エレベーター保守会社かあるいは管理会社からがほとんどで、“エレベーターってそんな工事が必要なのか?”からスタートされる方が大半です。25~30年経つとほかに大規模修繕工事の2回目や、機械式駐車場、給排水のポンプ、インターホン等次々に修繕費用のお金のかかる話ばかりに建物管理関係予算の銀行残高を見てため息をつかずにはいられないのではないでしょうか?
程なく、エレベーター保守会社からリニューアルの提案見積を受け取り、そこでまた衝撃を受けます。“一気にこんなかかるなんて!?”
しかし、エレベーターは共用設備の中でも給水設備と同じくらいの重要なインフラですので、故障で使えなくなると重大な影響を及ぼします。
尚且つ、人命にもかかわるので安ければどこでもよいという訳にはいきません。そうこうしているうちに、メーカーの部品供給期限が迫ってきて、昨今の長納期化と物価上昇で段々と追い詰められるような状況になっているのです。
そこには、趣味の時計や車、マイホームを買う時のようなワクワク感なんて全く存在しません。
ここで、覚悟を決めてエレベーターリニューアル工事を実施すると動くのですが、エレベーター保守会社に見積依頼をするも、どういった仕様の工事が必要なのかも分からないので、とにかくお任せだけれど、必要最小限の仕様で見積もりを出してほしい、と、こういった見積依頼をされている管理組合理事の方、賃貸マンションオーナーの方が多いのではないかと思います。
この心理状態で、相見積もりを数社程度で取得しで、金額折衝してもそれなりの相場金額の見積しかでてきません。
以前と比べても業界全体的に見積金額は2,3割は増額しており、各社工事要員のキャパシティの問題から無理をしてまで安値で受注しようとはしない動きが全般的に広がってるからです。
単純に一番札の会社に“もっと安くならないのか?”と漠然と投げかけても“もうこれ以上は無理です。”と素っ気なく返されて手打ちとなるのです。
この一貫した流れはどう見ても消費者が受け身の状態で供給者側の提示された見積もりをそのまま飲まざる得ない環境と言えます。
これがBtoBなら、専門知識をお互い持ち合わせての折衝なのでお互いがお互いの力量で納得、認識のある取引が可能ですが、エレベーターリニューアルは実際にはBtoCの構造となっていますので、消費者側に大きなハンディが付いています。
私は、エレベーターメーカーで新設営業を約15年経験し、その後既設エレベーターの保守営業を5年経験しましたが、顧客層の違いを大きく感じていました。新設営業顧客は設計事務所やゼネコン購買担当者であり、既設営業顧客は一般消費者である管理組合、個人の賃貸オーナーが圧倒的に多いのです。
特に何の準備もなく見積書とパンフレットだけ持ってフラッと商談に行く状態を“丸腰で営業に行く”と揶揄されます。
皆さんはこれからとても高額な買い物であるエレベーターリニューアルを買おうとしているのも関わらず、“丸腰”で臨もうとされています。
それでは、プロであるエレベーター会社の営業担当者に打ち勝つことは難しいでしょう。
それなりの準備として、ある程度の専門知識を蓄えて選定作業に入る必要があります。それが“攻め”のエレベーターリニューアル見積折衝術の第一歩です。
エレベーターリニューアルの見積内訳書、内訳明細書の見方について
こちらで、各社に見積依頼をする為に共通の見積仕様を定めて、依頼しても一律にその通りの仕様で見積を提出されるかは決してそうではないケースの方が多いと思われます。
見積依頼会社が多ければ多い程その確率は高くなり、良心的な営業担当者なら、対応不可の仕様はこれで、代替仕様はこうなりますとか見積備考欄に記載されたりしますが、それも最近はメールでのやり取りが多いので、説明が無ければ見落としたり、内容が理解できなかったりします。
ひどい時は“〇〇については対応不可です。“と小さな文字で最後のページにひっそりと記載されたまま、メール送信してそのままだったりとか。
仕様が抜けた安い金額で最終発注の検討段階で、トラブルになるケースもたまにあったりしますので、詳細に内容は確認しなければなりません。
まずは、各社の見積明細の各項目、仕様を抽出して横並びにして過不足のチェックをします。同じ部品名を抽出したら、各社各々の部品名を列挙し
一つ一つについてヒアリングをしていきます。部品の内容によって呼び名が独自の呼称だったりするので、その場合は同じ内容の分類の項目に振り分けます。一番難解なのは一つの部品にいろいろなパーツが組み込まれている場合、各社によってその部品に含まれている場合と、別項目で記載されていたりするので、それについても共通の部品項目に振り分け加算したりします。この作業はよほどそのパーツごとの構成を把握、理解していないと難しいですが、エレベーター会社によってその振り分けや記載方法は統一されていないのが実情です。
しかし、この作業が正確に行われないと各仕様がそれぞれ要求した見積仕様に反映された見積かチェックする事ができないので最も難解で重要な作業となります。
ここまで徹底した作業をしていくと、必ずⅠ,2社に仕様が漏れている事があり、確認依頼をすると記載はないが、含まれていますとか、もともと標準仕様なので記載はしていませんとか、回答されるのですが、全く仕様の計上が抜けているので、金額訂正の見積書を再度送信しますといった顛末もけっこうあったりします。
あと、一般的に明細毎に金額内訳を記載しているのが独立系保守会社で内訳も金額も細かい記載無く、ざっくりしているのがメーカー系の見積といった傾向があります。
見積内容を理解したら、見積に対し逆提案してコストダウン
各社の仕様ラインナップにより実は一律使用での見積を要求していても実は、過不足のある見積内容となっていたりしますが、ここからさらに本当に必要な仕様は何で、この項目の仕様を外したらいくらの減額になるか?
明細に単価が記載されていたら、その金額を削除すればいいですが、メーカー系保守会社の見積は単価内訳が記載されてない見積が多く、その都度こちらから、仕様変更の見積要求をしないと明示されません。
要求しても、会社の方針で削除できないとか、技術的な問題でそれはできませんとか、逆に削除したら別に追加する部品が増えるので増額になりますとか、かなり専門的なやりとりとなりますが、見積に記載されない深い中身について取り上げていくので、漠然とした要求に対しての回答ではなく、具体的な中身についての事なのでエレベーター会社も回答する義務が発生するのです。
高度な専門知識が要求される見積減額作業は専門家のサポートが必要。
現在、上記のようなご依頼が全国的に増えてきており、その他も補助金の採用についてであったりと、この物価高の状況で四苦八苦されている消費者様が数多く存在している様子を日々実感しています。
不明瞭で手間暇のかかる作業ですが、どうか前向きに方向転換して攻めの姿勢でエレベーターリニューアル見積検討作業に臨みましょう。



