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保守(メンテナンス) 故障・修理 相談事例 私たちについて

エレベーター事故防止、抑止について:私たちに出来る事

2026年1月18日

2026 01 18

エレベーター転落事故原因について

昨年2月末頃に発生した神戸三宮商業ビルで、利用者が4階から地下ピットに転落死した事故がありました。

事故発生当時はなぜ、エレベーターのかごが4階にない状態で乗場扉が開いていたのか?安全装置の基本的な機能でありどこのエレベーターでも備わっているはずなのに?起こるはずのない環境、状況での発生で警察、国土交通省の事故原因調査による解明を待つしかなかったのですが、先日事故原因について、新聞報道がありました。

かなり、複雑な要因が重なっての偶発的な事故原因ではないのかと想像していたのですが、そういった特殊性の高い事故原因調査結果ではなく、人為的な要素が高い内容だったので、驚きとある意味今までの私の持っていた常識が覆された瞬間を感じました。

エレベーターは保守点検契約を結び、定期的に現地点検を実施していて異常なしの報告が為されていました。年に一度の行政報告である定期検査も実施されていました。この内容も少なくとも、要是正、要経過観察があったかもしれませんが、即利用停止となるような報告内容ではなかったはずですし、数か月前に何らかの不具合があって、保守会社が現地対応をしているにもかかわらず、その間にも保守点検作業が入っての事故が発生したとなると、事故が起こるべき状態で起こったのではないかと思われます。

普段の点検を定期的に実施するその施設の現場担当者と緊急時に故障対応をシフト交替で現地作業、状況に応じた応急処置、安全確認、復旧する役割を社内部署間でおそらく、分業されていると思いますが、その社内報告、連絡、相談が抜け落ちていたのが根本の原因だった事になります。

エレベーター保全管理を取り巻く周辺環境の悪化

原材料費と人件費の高騰、納期遅延問題、あらゆる分野の専門職人員キャパシティ不足の深刻化が長期化して、改善の兆しは一向に見えません。改善どころか、悪化の一途を辿っている状況すら感じられるのですが、今回の事故はそういった周辺環境からの影響も一部あるのではないでしょうか。そうすると、この状況は日本全国共通の問題である以上、今後もどこのエレベーター現場でも起こる可能性は全くのゼロではなく、今までの様にエレベーターの安全、保全はエレベーター保守会社に任せていれば、問題ない。その為に保守契約を締結して保守料金を支払っている・・・だけでは万全ではないという事です。

それでは、皆様方一般消費者、利用者、所有者、管理者としてどうしたら、どういった事ができるのか?何をするべきなのか?について考えていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

まず、エレベーターについて興味、関心を持つ事から・・・

ある保守会社の保守契約書の一部抜粋になります。

(契約の範囲)

乙(点検会社)は技術者又は監督技術者を派遣し前条の昇降機を正常かつ良好な運転状態に保つようにメンテナンスを実施する。

(フルメンテナンス工事範囲)

仕様書に定めたフルメンテナンス工事は乙の判断により必要と認めたる場合に行うものとし、工事の範囲は昇降機を通常使用する場合に生ずる摩耗、劣化に限るものとする。

(フルメンテナンス仕様書)

機器の機能維持を図るため、摩耗、劣化を予測し構成部品の修理取替を行います。

別の会社のフルメンテナンス契約書の一部抜粋です。ほぼ同様の内容ですが、より具体的な内容になっています。

乙(点検会社)は甲(管理組合、所有者)の委託を受け本契約に定めるところに従い、本件昇降機について次の各号に掲げる業務を実施する。

保守・工事報告書記載の項目について点検し、その結果、不具合や異常又はそのおそれがあると判断した時は必要に応じて、部品・機器類等について調整、給油、清掃、修理又は取替(修理及び取替は〇条第〇項に定める範囲内のものに限る)を行うこと。

本件昇降機の維持・管理や安全な運行に関する助言及び情報提供

以上を要約すると、エレベーターを安全に運行する為の保全管理が契約の主たる目的で、その為に必要な点検、維持管理に必要な調整作業、部品交換について、保守会社に委ねる(すべてお任せ)するといった解釈になります。劣化状況を把握し、不具合発生を予想し故障発生する前に処置対応する予防保全が基本の考え方になるのですが、それでも相手が機械なので故障したからと言って、即契約不履行とはなりません。最善を尽くしても不具合発生したらその対応、処置を実施し、報告をする事としか契約書に謡われていませんので、ペナルティとかの話もないのです。

エレベーター保守契約委託者(契約者)の責務、業務範囲

甲(発注者)は乙が本件エレベーターについて使用上の注意事項を提示した時はその事項を遵守するものとし、本件エレベーターを安全に運行させるよう努めるものとする。

甲は本件エレベーターに運行上の不具合が発生したことを確知したときは速やかにその使用中止その他の必要な措置を講じるとともに直ちに乙にその旨を連絡するものとし、本件エレベーター及びその部品、機器類を自己判断で操作等しないものとする。

甲は、故障・事故の発生を確知した時は直ちに乙に連絡する。

乙は本件エレベーターについて生命または身体にかかわる緊急事態が発生した場合にはエレベーターの停止などの応急措置をとり、必要に応じてしかるべき行政機関に連絡する。また、甲が行政機関に報告するべき場合には乙は必要な協力を行う。・・・・

エレベーターの通常の保守保全作業については、保守会社にお任せだが、生命の危険にかかわるレベルの緊急事態発生の使用停止措置等の判断、連絡、行政機関への報告についての責任は契約者(所有者)であり、そのサポート、補助的な役割については保守会社が担うといった要約に受け取られます。

(契約不適合責任)

乙が修理若しくは取替をした部品。機器類等又は実施した業務の目的物が種類又は品質に関して本契約に関して内容に適合しないもの(契約不適合)であるときは、甲は乙に対し書面をもってその修補その他の履行の追完に限り請求する事ができる。

契約不適合が甲に供した材料の性質若しくは甲の与えた指図によって生じたものであるとき、又は甲の責めに帰すべき事由によるものであるときは、甲は当該契約不適合を理由として履行の追完及び損害賠償の請求並びに本契約の解除をすることができない。ただし、乙がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

・・・・民法の契約不適合、注文者の責任についての記載ですが、専門的知識がない立場から、実際不具合、トラブルが発生した時の責任範囲で解釈がお互いの立場での主張の解釈が分かれてしまう可能性が高いと感じます。

平事のうちに有事の時の対応策を検討

お金を払ってるのだから、すべてに関してお任せで、何かトラブルがあっても請負先が責任をとればいいといった考えでは、これからのリスク回避社会の世の中では成り立たないと思われます。

普段からの定期的な業務報告から変化、変調を確認、確知しその都度内容を把握、状況に応じた判断がある程度の範囲で必要とされる時代に突入しているのだと感じます。

最近、エレベーターの連続不具合による相談件数が増えてきており、解決に長期的な取り組みが必須となるケースがほとんどです。

そういったご相談についても、千差万別な内容に応じた対応のアドバイス、弊社による委任折衝による解決対応の業務委託も承っておりますので

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