よくある質問

Q. エレベーターの保守契約には「POG契約」と「フルメンテナンス契約」があると聞きましたが、違いは何ですか?

A. 回答

両者の最大の違いは「部品交換・修理の費用が月額保守料金に含まれるかどうか」です。

エレベーターの保守契約は、大きく次の2種類に分かれます。

■ POG契約(Parts・Oil・Grease契約) 月々の定期点検と、消耗品(注油・グリスなどの油脂類)および電球などの軽微な部品交換のみを含む契約です。それ以外の部品交換や修理が発生した場合は、その都度別途費用がかかります。月額の保守料金は安く抑えられますが、経年劣化が進み長期わたって部品交換が実施されないと、突発的な修理費が膨らむ可能性があります。

■ フルメンテナンス契約(FM契約) 定期点検に加え、原則としてほとんどの部品交換・修理費用が月額料金に含まれる契約です。月額料金はPOGより高め(一般的に1.5〜2倍程度)ですが、突発的な高額出費が発生しにくく、費用が平準化されるのが特長です。

簡単に整理すると、次のようになります。

POG契約フルメンテナンス契約
月額料金安い高い
部品交換・修理費都度別途請求原則含まれる
費用の予測しやすさ変動しやすい平準化されやすい
向いているケース比較的築浅・予算管理を自分で行える築年数が経過・突発出費を避けたい

【私たちの見解】

「どちらが得か」は一概には言えず、エレベーターの築年数・劣化状態・管理組合の予算管理方針によって最適解は変わります。よくある誤解は「フルメンテのほうが安心だから良い」「POGのほうが安いから得」という単純化です。

私たちが現場で繰り返し見てきたのは、次のような落とし穴です。一つは、フルメンテナンス契約と謳いながらその部品交換が必要とする判断がエレベーター会社に委ねられている点です。すべての経年劣化部品の交換はエレベーター保守会社にお任せとなるので、消費者にとってどこの部品がどの程度の状態で、交換が実施されているのかが見えにくいので、定期的に交換実績を報告してもらうなどの最低限の確認作業が必要となります。それと「リニューアルが必要な部品は別途」といった除外条項が細かく設定されており、いざという時に結局追加費用を請求されるケース。もう一つは、POG契約で都度見積もりされる部品交換費が相場より高く設定され、年間トータルではフルメンテより割高になっていたケースです。

特に注意したいのは、契約形態そのものより「保守点検の作業実績の報告内容」、「都度発生する見積もりの妥当性」です。同じ「フルメンテナンス契約」でも会社によって保証範囲はまったく異なります。私たちは契約形態の選定だけでなく、過去を遡っての点検報告書から作業実績のチェックや、提示されたPOG見積もりの内容解析や、その金額が適正かどうかの検証まで踏み込んでサポートしています。「今の契約が自社のエレベーターに本当に合っているのか」を客観的に確認することが、長期的なコスト最適化の第一歩です。